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2014年09月

人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩と歴史〜(3)

1778年、ひとりの革命的なヒーラーが探究の道をさらに一歩前進させました。患者がキリストやヒーラーの力を信頼していなくても著しい治療効果が得られると主張する人物があらわれたのです。それは、ドイツの医師フランツ・アントン・メスメル(独:Franz Anton Mesmer,仏:Frederic-Antoine Mesmer, 1734-1815)です。

フランツ・アントン・メスメル
(独:Franz Anton Mesmer,仏:Frederic-Antoine Mesmer)
フランツ・アントン・メスメル














メスメルは、患者が治癒したのは宇宙に遍満する流体(fluide)というエネルギーを利用したからであると主張しました。メスメルはこの流体が宇宙に遍満する微細な液状物質で、人間とほかの生命体、生物どうし、地球や天体と結びつける媒体であると主張しました。(この説はパラケルススの医学体系における宇宙観と同じです)。メスメルは、自然界のすべての存在は特定の力を持っており、その特殊な力のはたらきによって他の存在の上にそれ自身の存在を顕現させられると述べています。彼は、あらゆる物体・動物・植物、そして鉱物の中にまでその不思議な媒質が浸透していると考えていました。

メスメルは、ウィーンにおける医学研究時代のはじめの頃、患者の病変部位の上に磁石をかざすと病気が治る場合が少なからずあることに気づきました。また神経疾患をもつ患者においては、磁石の刺激が異常な運動を引き起こす傾向がみとめられました。メスメルは、磁気治療が成功しているときには筋肉の大きな痙攣(けいれん)や反射が頻繁に発生すると記録しています。やがてメスメルは、治療がうまくいくのは、磁石を伝導体として彼自身の体内から生じたエーテルの流れが患者の体内に注入され、微細エネルギー的な治療効果が生まれたためであると信じるようになりました。そして、その「生命力の流れ」が磁気的な性質を帯びているものと考え、それを、(無機物や鉄にはたらく磁気と区別するために)「動物磁気」(magnetisme animal,Animal magnetism)と名付けました。

動物磁気をもちいた治療によって不随意的な痙攣(けいれん)や振顫(しんせん)がおこることから、メスメルは研究を通じて、微細エネルギーの流れが神経系と関連しているのではないかと考えるようになりました。彼は神経と生命力の流れが全身に流体を輸送し、流体が供給された部位が活力を取り戻すという仮説を立てました。メスメルの「流体」という概念は、古代中国の「気」とも通じているように見えます。気エネルギーも、経絡系を流れて神経と身体組織に生命力を供給するものです。

健康とホメオスタシスの基礎には、生命を維持し、制御している磁気的な流体のはたらきが欠かせないと、メスメルは確信しました。この生体磁気との適切な相互作用をもち、基本的な自然法則と調和しているときに、人は健康でいられます。病気は、肉体とそうした自然の微細な力とのあいだの調和が乱れたときに発生するのです。メスメルはさらに、その普遍的な力を生み出す最良の供給源は人体そのものであると確信するようになりました。そして、そのエネルギーの流れの最も強い放出点は手のひらであると考えました。治療家が手を患者の体に触れて治療(「磁気的パス」)をおこなえば、患者に向かってエネルギーが直接流入するというわけです。フランス革命をむかえていたこの時期において、この療法は、彼自身の影響力によって国民のあいだで大流行することになりました。

しかし不幸なことに、当時の科学者の多くは、メスメルの方法をたんなる催眠術または暗示効果であると考えていました。一部の科学者はいまだに催眠を「メスメリズム」(mesmerism)と呼ぶことがあり、「メスメライズ」という言葉は現在でも「催眠状態にする」という意味に使われています。

1784年、フランス国王はメスメルの治療実験の真偽を調査委員会に諮問しました。その委員会のメンバーには、科学アカデミー会員、著名な医学者、そしてアメリカの政治家であり科学者でもあったベンジャミン・フランクリンなどが参加していました。彼らが計画した実験は、「治療に成功した症例の背後には磁気的な流体という力が存在する」というメスメルの主張の真偽をたしかめるためのものでしたが、残念ながら、委員会によって計画された検査のいずれもが、流体の医学的な効能の測定とは無関係なものでした。この権威ある委員会が最終的にくだした結論は「流体は存在しない」というものでした。患者に対する治療効果そのものは否定しませんでしたが、その効果は感覚的興奮、想像力、(ほかの患者の)模倣によるものだと考えたのです。興味深いことに、医学アカデミーは1831年に動物磁気の再検討をおこない、メスメルの視点を一部ではあるが公的に認めました。しかし、そのような評価にもかかわらず、その後メスメルの研究が広く世間に認められることはありませんでした。

手かざし療法の生理学的作用に関する最近の研究によって、治療作用をもつ微細エネルギーが磁気的性質を帯びていることが確かめられてから、研究者たちはメスメルが人体の微細エネルギーの磁気的性質を何世紀にもさきがけて理解していたことを立証していきました。しかし後述するように、そうした微細エネルギーを従来の電磁気的測定機器によって直接測定する試みが困難であることは、現代でもメスメルの時代とさほど変わりはありません。

メスメルはこの微細な磁気的な力が水に蓄えられることにも気づいていました。水に蓄えられた治癒エネルギーを患者に中継するために「桶(baquet, バケ)」と呼ばれるエネルギー貯蔵庫を考案され、すでに使用されていました。ともあれ、こんにちではメスメルを偉大な催眠術師だと考える人は多くても、微細な磁気的治癒エネルギーについての彼のパイオニア的な研究を知る人はほとんどいません。
(「バイブレーショナル・メディスン」 p.354-357)

人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング(1)
人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング(2)
人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング(3)




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人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩の歴史〜(2)

治癒のメカニズムを調べていた初期の研究者の多くは、そこに磁気のようなエネルギーが関わっているという仮説をもっていました。当時、注目を集めた「生体磁気説」の代表的な論者のひとりに、テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム(Theophrastus Philippus Aureolus Bombastus von Hohenheim, 1493-1541)というルネサンス初期のスイス人医師がいましたが、彼はパラケルスス(Paracelsus)という名前でも知られている有名な人物であり、のちに大論争の火付け役となりました。

晩年のパラケルスス(1540年代)
パラケルスス












パラケルススは新しい薬物療法の数々を発見し、人間と宇宙との照応関係にもとづく独自の医学体系を築き上げました。その説によれば、人体は微細な放射物や、空間をすみずみまで満たしている流動体を通じて、星やさまざまな物体(とくに磁石)の影響を受けているという。彼の説は、人間と天体との結びつきを説明しようとするものでした。パラケルススの医学体系は、人間の病気や行動に対する惑星と恒星の影響に関する、初期の占星術的な考察であるとみることができます。

そこで言及されている人間と天界との結びつきは、微細で浸透的であり宇宙に遍満する流動体、おそらくは「エーテル」の初期的構成物によって成り立っています。彼は、その微細な物質には犲Уづ畧質が備わっていると考え、これが治癒をうながす独特の特性をもたらしていると考えました。そして、その力が手に入り、活用できるならば、病気の進行を遅らせたり、治癒に導いたりすることができるだろうとも結論づけていました。パラケルススは生命力は個人の体内に閉じこめられているものではなく、光輝く天体のようにからだの内外に放射しており、遠く離れた場所にも作用するものであると述べてています。身体周囲のエネルギー場に関する描写が実に正確であることから察して、彼自身が人体のオーラを観察することができたのではないかと思われます。

パラケルススの死後、磁気説は、当時の医師であり神秘家であった英国人ロバート・フラッド(Robert Fludd,Robertus de Fluctibus, 1574-1637)に受け継がれました。フラッドは17世紀初期の代表的な錬金術理論家のひとりと考えられています。 


ロバート・フラッド(Robert Fludd,Robertus de Fluctibus)
ロバート・フラッド












ロバート・フラッドは、光と生命の源としての、健康における太陽の役割を強調し、太陽は地球上に存在するあらゆる生き物に必要な「生命の光線」を供給してくれると考えていました。また、彼は、天上から送られてくる不可視の力が何らかの方法であらゆる生命体に顕現しており、その生命力は犖撞曚箸箸發某搬里貌ってくる瓩塙佑┐泙靴拭これは、インドのプラーナという概念と似た「太陽に内在する微細エネルギー」をあらわす概念であり、呼吸を通じて体内に取り入れられるというものです。

神秘家の多くは、ヒーラーがおこなう癒しのわざは、体内に取り入れたプラーナの流れを視覚化し、意識的にコントロールすることによって、エーテルエネルギーを患者の体内に手から送り込むことだと考えています。フラッドは、人体に磁気が存在するという説の信奉者でもありました。
(「バイブレーショナル・メディスン」 p.353-354)

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人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩の歴史〜(1)

手かざし療法の歴史は何千年も昔にさかのぼります。古代エジプトにおいてそれが治療目的でもちいられていたことを示す証拠は、紀元前1552年頃の「エベルス・パピルス」(Ebers Papyrus)にすでにみとめられています。

エベルス・パピルスの癌治療に関する記述
エベルス・パピルス














キリスト生誕の4世紀も前のギリシャ人たちも、アスクレピオス神殿などにおいて病人を治療するために手かざし療法をもちいていました。

アテネのアスクレピオス神殿
アスクレピオス神殿







アリストファネスのいくつかの作品には、失明した男性の視力が手かざし療法によって回復したり、不妊の女性が子を授かったりするさまが詳しく描写されています。

聖書には、手かざし療法の医学的な応用や霊的な応用について、数多くの記述が見られます。キリストの奇跡的な癒しが手かざしによって行われたことはよく知られているところです。キリストはこういっています、「わたしが行っていることは、あなたがたにもできることです。あなたがたなら、もっと上手にできるだろう」。初期のキリスト教聖職者にとっては、手かざし療法は説教や秘蹟とおなじ仕事の一部だと考えられていました。初期の教会では、手かざしは、聖水や聖油と一緒に秘蹟において使われていました。

それから何百年間かのあいだに、教会における癒しの職務は次第に衰退していき、ヨーロッパでは、癒しのわざは「ロイヤル・タッチ」として行われるようになりました。ヨーロッパ諸国の王たちは、結核(瘰癧=るいれき)のような病気を手かざしによって癒したと伝えられています。この治療法はイギリスでは、エドワード証聖王エドワード(Edward the Confessor, 1002?/1004-1066)によってはじめられ、その後700年間以上も続いて、懐疑的な王ウィリアム4世(William Henry, 1765-1837)の統治時代に廃止されました。

エドワード証聖王(バイユーのタペストリー)
エドワード証聖王











初期におこなわれたさまざまな癒しのわざの試みは、イエスや王、あるいは特定の治療家のもつパワーに対する、患者の信頼感や信仰心に基づくものだと考えられていました。また現代になると、自然界の特殊な生命力や作用力によって治療が生じると考える医学者たちもあらわれました。
(「バイブレーショナル・メディスン」p.352-353)

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