耳介(じかい)で集められた空気の振動の一部は外耳道を通って鼓膜に伝えられます。そこで鼓膜が振動し、耳小骨(じしょうこつ)で増幅され、内耳(ないじ)の蝸牛(かぎゅう)が振動を電気信号に変えて脳に伝えられ、最終的に音として認識されます。
このことから、音というのは、空気の振動という自然現象に限らず、脳で加工されたものもあるということがわかります。下記にその例を3つご紹介します。
(1)マガーク効果
「ガ」と発音している映像を見ながら「バ」と発音している音声を聞くと「ダ」と聞こえます。これをマガーク効果といいます。
(2)ミッシング・ファンダメンタル
複合音の音高認知において幻聴される基本周波数のことをミッシング・ファンダメンタルといいます。たとえば、ある基音を設定し、その基音は鳴らさずに、その上の整数次倍音のみを配した複合音を聞くと、その基音があたかも存在するかのように聞こえてくるという実験があります。実際、オーボエなどでは、倍音だけが出ていて基音がほとんど出てないことがあり、それでも基音が出ているように聞こえてきます。このように、まったく存在しない音を、私たちは脳内で創り出して聞いているのです。
(3)ステレオのスピーカー
ステレオのスピーカーシステムにおいて、非常に低い音は、基音を出さずにその倍音だけを変換して出します。これにより、小さいスピーカーでも低音を表現することができます。また、これにより、スピーカー躯体(くたい)、つまりスピーカーの構造を形作る部品の集まりの振動を抑えることもできます。
〈参考文献〉
NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
ニューコードNLPスクール
記事更新日:2023/08/31