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NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士、ニューコードNLP共同開発者カルメン・ボスティック女史が監修するニューコードNLPスクールの公式ブログです。

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2021年01月

脳血流実験からの示唆(4)「得た知識をどうやって全部取り除くか」

1990年にコペンハーゲンで開催された血流研究に関する会議で、大勢のベテラン科学者が、この代謝活動をどう理解すべきかを議論した。脳の中の、何かが起きている領域に多くの血液が流れる原因はいったい何なのだろうか?この分野の草分けである、アメリカ国立精神衛生研究所のルイス・ソコロフによれば、代謝活動の引き金を引き、それによって血液の需要を招く原因は、神経細胞の機能そのものではないという。代謝を必要とするのは神経細胞が次の仕事に備えて準備をするときなのだそうだ。言い換えれば、血液が必要になるのは脳細胞が果たしている機能ではなく、次の仕事の準備、つまり老廃物を取り除く作業なのだ。「したがって、代謝の活性化は機能的活動と直接かかわりがあるのではなく、その活動の結果からの復旧と結びついているものと思われる」とソコロフは説明した。

マクスウェルの魔物にとって、ほんとうの問題は、分子の位置に関する知識をどうやって得るかではなく、得た知識をどうやって全部取り除くかだったのと、ちょうど同じだ。

血液は、じつはプロセスの途中で捨てられた情報を測る尺度と言える。この代謝がなければ、神経細胞は今行った仕事を忘れることはできない。

脳のエネルギー代謝の研究は、脳が行う仕事に関する研究だ。部屋の家具の配置を思い出すといった心的活動も、まぎれもなく物理的、生理的活動であり、純粋に有形の要素と明確に結びついていることを認識しなくてはならない。思考は体内で起きる物質的な出来事であり、運動のような身体的活動とあらゆる点で似ている。思考を体のほかの活動と分けて考える理由は何もない。テニス同様、思考にも熱量が必要だ。だから、私たちが話すときには頭の中に一種の木があると言うのは、じつに理にかなっている。なにしろ、会話する人の頭では何かが起きていることを、測定して証明できるのだ。
(トール・ノーレットランダーシュ著「ユーザーイリュージョンー意識という幻想」p.153-154 )


脳
















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トール・ノーレットランダーシュ
紀伊國屋書店
2002-09-01



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記事更新日:2022/09/18

脳血流実験からの示唆(3)「自分の母国語を聴いたとき」

フリーベルィは、母国語を録音したテープを普通に回したときと、逆回ししたときとでは、聴いているデンマーク人被験者の血流に大きな差が生じることを明らかにした。普通に回したときには、テープから流れる言葉に含まれるメッセージを理解するために、聴覚中枢と言語中枢をはじめ、この作業に関連する中枢の活動が活発になる。ところが、テープを逆回転させると、なんと脳全体が活性化するのだ、逆回ししたテープは、普通に回したテープより理解しにくい。というより、理解できない。だから、脳は逆回転のテープの内容を消化するために、普通よりずっと多くのエネルギーを使わなければならない。テープが普通に回っていれば、たんに言葉を聞いて特定のコンテクストの中で理解するだけだから、意味んは明白そのものだ。ところが逆回しだと、聞こえてくるのはナンセンスばかりで、何らかの意味を掴むのは至難の業となる。

ところで、これは情報理論とどんな関係があるのだろう。普通に回しても逆回転させても、ビット数は同じに決まっていると思われるかもしれないが、実はそれは聞く人しだいなのだ。

テープを普通に回したとき、聴き手がそれを理解できるなら、その人が経験するのはその言語によって符号化されたビットだけだ。これは聴覚イメージ中に存在する総ビット数よりもはるかに少ない。

しかし、テープの意味がわからなければ、普通に回そうと逆に回そうとビット数は変わらない。聴き手は聴覚イメージの中の音の差異という形でしかテープの音声を知覚しないので、どちらに回そうが、聴き手の捉える音の差異の数は同じになるからだ。

正しく回したとき、それが理解可能なテープだとわかっていれば、逆回転させたときよりテープのビット数は少ない。テープに吹き込まれた言語がデンマーク語だとわかっていると、聞き手にとって聴覚イメージの中の意外性は減る。つまり、情報量は少ないということだ。もちろん、デンマーク語がわかる人の場合だが。

意味をなさない録音に含まれる膨大な情報量を消化するには、意味を成す録音を聴くときより多くの働きが脳に要求される。秩序を経験することより無秩序を経験することのほうが、多くの情報を含んでいる。明瞭なメッセージには無秩序な情報がないからではなく、普通の話を聞いたとき、無秩序な情報はいちいち相手にしなくてもいいことを、脳がよく知っているからだ。言葉がわかれば、ほかはどうでもいい。

私たちはメッセージを聞いて、日常の意味でいう情報として知覚する。この行為が明らかにしてくれるのは、じつは、メッセージの情報量はもっとあってもよいはずなのに、意外に少ないということだ。パイプ、つまり私たちが耳を傾ける伝達経路には、メッセージを知覚するときに私たちが知覚するよりはるかに多くの細かい情報が含まれている。だが、私たちはそうした詳細を無視する。そこにあるのはメッセージで、何一つ意味のとれない不可解な暗号ではないことを知っているからだ。日常概念でいう情報とは、ほんとうは捨てられた情報のことだ。日常生活で、メッセージを聞いて情報が豊富だと思うのは、詳細や物理的な情報のすべてに注目しなくても、そこにわずかな数の差異が認められればそれで事足りるからだ。

一方、逆回転で再生したテープは、日常の感覚では情報が豊富だとは思えない。情報を処分して組み立てられたわけではなく、音の差異の寄せ集めにすぎないからだ。私たちにしてみれば、これは(物理的には大量の情報を含んでいるのだが)情報ではなく、ただのでたらめだ。無秩序はあまりに複雑な構造をしているので、逆に、構造など持たないように見えてしまう。

日常的な情報の概念は、「大量のミクロ状態を無視してもいいようなマクロ状態はあるか」という問いと直結している。もしあれば、脳は受けたメッセージを理解して消化するのにそれほど苦労しない。血流も少なくてすむ。

このように、「理解」という概念は、客観的に観察できる生理的プロセスと結びついている。フリーベルィとその同僚は、血流パターンを調べることで、被験者がデンマーク語のわかる人かどうかを、客観的に見極める方法を開発したことになる。お望みとならばナバホ語でもいいのだが。
(トール・ノーレットランダーシュ著「ユーザーイリュージョンー意識という幻想」p.151-153 )


会話をする外人














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記事更新日:2022/09/17

脳血流実験からの示唆(2)「思考中の脳の血液循環の差異」

ラッセンとイングヴァルの弟子にあたるラーシュ・フリーベルィとパー・ローランドの二人が、1985年に、思考中の脳の血液循環に関する研究結果を発表した。それによると、暗算、押韻詩の復唱、視覚記憶を使った課題という、三つの異なるタイプの思考では、血流のパターンに大きな違いが見られるという。

【図】暗算、音韻詩の復唱、道筋の視覚的イメージ化の課題では、脳の活動パターンに大きな違いが生まれる。人が何を思考しているか目で確認できるわけだ。この図は左右の大脳半球における血液循環の様子を示している。(フリーベルィとローランドに基づく)

脳内の血流の差異




















暗算では、被験者は50から3を引き、さらに3を引くことを繰り返す。押韻詩の復唱では、デンマーク人であれば誰でも知っている、ナンセンスな押韻詩句 “okker-gokker-gummi-klokker-erle-perle-pif-paf-puf” を一語置きに思い出す。視覚記憶を使った課題では、被験者は家の玄関を出て、さしかかる十字路を左右交互に曲がっていくところを想像する。

これらの課題のそれぞれについて、1分間続けては、脳のどの部分の血流が目立って増えたかを順次観察した。その結果、三タイプの思考の間に大きな違いがあることがわかった。最後の課題がほかの二つよりはるかに難しかったようで、実際、いちばん多くの血液を必要とした。

実験で観察された血液の量の変化は無視できないものだった。感覚的な知覚あるいは運動による作業より思考のほうが、脳内に流れる血液の増加は大きい(もっとも、運動時には体全体の血液循環は当然ながら増大する)。また、心的活動的に、脳内の代謝がどの程度増加するかという研究で、ローランドとその同僚は、思考によって(血流と密接な関係がある)脳の酸素代謝が10パーセント増加する場合があることを明らかにした。

ただでさえ脳は体の中でもエネルギー消費量が多い(全エネルギー消費に脳が占める割合はじつに5分の1に達する)から、これはとても大きな増加率といえる。
(トール・ノーレットランダーシュ著「ユーザーイリュージョンー意識という幻想」p.150-151)

本を読む女性














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記事更新日:2022/09/17

脳血流実験からの示唆(1)「会話中の脳の血液循環の差異」

コペンハーゲン北部にあるビスペビャル病院(the Bispebjerg Hospital)の地階に、臨床生理学・核医学科(Clinical Physiology and Nuclear Medicine)という部門がある。その名が示すとおり、ここでは放射性化学物質を使って、人間の生理学(生体がどう機能するかを学ぶ学問)の研究が行なわれている。人間の脳の機能に関して現在詳細にわかっていることのうちで最も重要と言える発見の数多くが、過去30年間にここでなされてきた。この部門を率いるニール・A・ラッセン教授が、スウェーデンのルンドにある大学病院から来ていた同僚のダーヴィド・イングヴァルとともに、脳内の血液循環を調べる方法の開発研究をした。

彼らの手法の基礎は、1940年代から50年代にかけて、すでにアメリカで確立されていたが、ラッセンとイングヴァルが、人間の脳内の血液循環を詳細に測定できることを実際に証明したのは、1960年代に入ってからだった。これにより、特定の作業をするとき、脳のどの部分が活動しているのかを示すことが可能になった。脳には言語中枢、運動中枢、計画中枢、聴覚中枢などがある。

そのような中枢があることは、おもに、戦争で部分的脳損傷を追った兵士の研究により、100年以上前からわかっていた。しかし、脳内の血液循環を研究する新たな手法が開発されたおかげで、はるかに日常的なコンテクストでの脳の活動を探究することができるようになった。たとえば、たんに口をきくのと会話するのとでは大きな違いがある。

【図】たんに何かを報告するときより会話するときのほうが、頭の中では多くのことが起きている。この図は左右の大脳半球の各領域に循環する血液の量を示している。(フリーベルィとローランドに基づく)

脳内の血流の差異















ただ自分の部屋の様子を描写する人と、(たとえば、クリスマスをどう過ごすかについて)誰かと会話をしている人とでは脳内の血流に差異が見られる。

もちろん、個々の思考をのぞくことはできないが、その人が誰かと話しているのか、一人でしゃべっているのかはわかる。同様に、こうした観察からは、人が話す前に考えているかどうかも明らかになる。「椅子」「テーブル」など、実験者によって与えられた言葉の一つをただ繰り返すときと、「座る」「食べる」という具合に、与えられた言葉から連想を広げる必要があって、話す前に考えなければならないときとでは、脳の活動パターンが異なる。
(トール・ノーレットランダーシュ著「ユーザーイリュージョンー意識という幻想」p.149-150)


カフェでおしゃべり













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