意識内容のリフレーミング(content reframing)には、二種類あります。私は今、両方の例を挙げましたが、その違いがおわかりですか。二つの例の本質的な違いに気づかれましたか。

男性:一方は、状況の変換(changed the contextで、一方は、意味の変換(changed the meaningです。

講師:その通りです。後の例でヴァージニアは状況を変換しましたね。頑固であるというのは、家族という状況の中では悪いことと判断されますが、銀行業や、失礼な振る舞いをする男とのデートという状況では、良いことになるわけです。
ビル:つまり、父親が娘の行動を評価するための状況を、変換するのですね。
講師:その通りです。父親は、娘が父親に対して頑固であることを反抗とみなすのをやめて、父親の業績だと思うようになるでしょう。彼が娘に、悪い男から身を守るように教えたのだ、というふうにです。
ビル:つまり、想像の中で状況を切り換えて、別な反応を引き出し、その反応を、現実の状況に置き換えるのですね。実際には起きていないことに反応させるわけですね。
講師:ええ、彼はすでに「実際に起きていないこと」 "what is not going on." に反応しています。もっと別の(different実際には起きていないことに反応させるわけです。クライエントの行動のうちで最もわかりにくいのは、その行動を引き起こしている状況が主として内的なもので、こちらはまだそれを知りえないでいる場合です。夫が妻に「愛しているよ」と言うと、妻が「このろくでなし」と答えるとすれば、それは、彼女が独特な内的状況に動かされていることの現われでしょう。探ってみると、以前この言葉を彼女に言った男は、それきり背を向けて出て行って帰ってこなかった、ということがわかるでしょう。クライエントとの間に意志の疎通したラポールを保ちたいのであれば、その人の行動が奇妙でおかしく思えるというのは、その行動を引き起こしている状況があなたに理解できていないのだ、と考えてください。

会話











こちらから新しい状況を押しつけずに、クライエント自身の内部から見つけ出すこともできます。クライエントが「Xをやめたいのです」と言ったら、「その行動が適切で役に立つ場合もありますか?」と聞くのです。「そういう時もありますが、ひどい結果に終わってしまうこともあるのです」という答えであれば、その行動の所属がわかります。そこで行動の状況づけを行ない、Xが失敗であった状況には、別の行動を代わりにおけばよいのです。

クライエントが、「それがふさわしい場合は全くありません」と言ったら、特定の代表システム(representational systemの指示を与えて、ぴったりくる状況を探す手助けをします。「その行動をしているところを思い浮かべて、よく聞いてごらんなさい。−どこで起きたことですか?」。
「教会です。私は立ち上がって畜生!とわめき、人々が私を外へ引きずり出しました」。
「よろしい。教会で、大勢の人の中で立ち上がって畜生!とわめくのはよい結果にならないし、二度と起きてはいけない、とわかっているわけですね。同じ行動が役に立つ場所を探しましょう。教会でのご自分が見えますね。では、背景を、祭壇やベンチ、その他の教会の内部から、別のものに代えてごらんなさい。次々に別な背景を思い浮かべてみて、あなたが立ち上がって、畜生!と言ったとしても、あなたの全部の部分(partが、それが正しい反応だと同意するような背景、まわりの人もそれに賛成しているのがわかるような背景を見つけてください。そのような状況が見つかったら、立ち上がって、畜生!とわめかせた自分の内部の部分(partに向かって、その状況でしか力を発揮しないようにしてくれるかどうか、尋ねなさい」。

これは、視覚による誘導です。新しい状況を探すためには、代表システムという角度から、その人の内的な過程に合わせる必要があります。聴覚、ないし触運動覚による方が向いている人もあるでしょう。
(星和書店「神経言語的プログラミング『リフレーミング』心理的枠組の変換をもたらすもの」p.6-8より)

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リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの
リチャード バンドラー
ジョン・グリンダー
星和書店
1988-04-08



Reframing: Neuro-Linguistic Programming and the Transformation of Meaning
John Grinder
Richard Bandler
Real People Press
1981-06-01



NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
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記事更新日:2022/06/07