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男性:意味を変えるにあたって、等価の複合観念(complex equivalenceをもち込むのではありませんか?
講師:もち込むのではなくて、すでにあるのを変える、取り換えるのです。婦人は、すでに自分なりの等価の複合観念を作っています。すなわち、「じゅうたんについた足跡は悪い主婦を意味するから、気がとがめる」、これに対して、「等価の複合観念なら、もっといいのがありますよ。じゅうたんの足跡は、大切な人達がまわりにいるしるしだから、気分が良くなるでしょう」というのです。

リフレーミングを行なううえでは、逆のやり方をした方が良いこともあります。レスリーは婦人に向かって、とんでもない、あなたの考えはまるで間違っています。足跡は、大切な人達がまわりにいるしるしですよ」と言うこともできますが、それはインパクトがなくて、内的経験や反応が変わらないでしょう。そこで伝達の順番と表現力とが非常に重要になるのです。

「じゅうたんを思い浮かべなさい。一つのしみもありません完壁に掃除してあって、ケバまでまっ白です」。これが〈ペーシング(pacing)〉です。婦人は、等価の複合観念に反応しています。だから次のように誘導するのです。「それは、あなたがひとりぼっちでいるしるしだ、と突然気がつきます」。これは、婦人が思ってもみなかったことです。よく考えてみればそうとは限らなくて、家族は隣の部屋にいるかもしれないのですが、この状況ではもっともらしく聞こえるので行動に影響を与えるのに役立つのです。それから、「じゅうたんに足跡をつけて、愛する人達がそばにいると考えなさい」と切り返します。

「私は記録をとることができないんです。間抜けなんです」という人には、どちらのリフレーミングがふさわしいでしょうか。両方とも用いられますが、すぐに役に立つのはどちらでしょうか。この例のような等価の複合観念は、意味について語っているものです。私は何かが嫌いだ、とか、誰か他の人について何か気に入らないという場合は、たいてい意味が問題なのです。「バイロンは私のグループには実際興味がないのだ。後ろのすみっこにすわっている」と言えば、その行動の意味に関する言葉です。

「Xが起きると、いらいらします」という陳述には、どちらのリフレーミングが向いているでしょうか?……。意味のリフレーミングですね。状況のリフレーミングがふさわしい陳述とはどのようなものですか?
女性:この部屋にすわっていると、どうも幸せな気分になれませんわ。
講師:これに役立つリフレーミングは、どちらでしょう。状況でしょうか、意味でしょうか?彼女が言っていることの本質は、〈ここにすわっていることの意味が好きではない〉ですから、意味のリフレーミングです。

「私は暴君だ」と言ったらどうでしょう?これは状況に係わることですね。どういう点で、誰に対して暴君なのか?二つの陳述の、型式の違いは何でしょうか。どちらも一種の一般化ですが、その違いがわかりますか。型式の識別ができれば、どちらのリフレーミングを用いればすぐ役立つかがわかります。

行動そのものには、決まった価値はありません。どんな行動も役に立つ場所があり、それを決めてあげるのが状況のリフレーミングです。また行動そのものには、特定の意味はありませんから、どんな意味でももたせることができます。それが意味のリフレーミングです。これは、皆さんが各々の場合をどう描与するかの能力にかかっており、創造性と表現力の問題なのです。

さて、少し実際にやってみましょう。何か困っていることを私に訴えてください。リフレーミングしてみましょう。
女性:夜のコーヒーがなくてつまらないんです。
講師:このところよく眠れますか?
男性:一度にいろいろな研究発表がありすぎます。一つのワークショップに出ることに決めても、別な方も聞きたくなるんですが、午後から別な方に行っても、話が進んでしまっていて、どうもついていけません。
講師:よくわかりますがね。ところでワークショップがそういうふうに組まれていることの利点の一つは、意思決定のいい練習になることですよ。
女性:今の言葉のどこがリフレーミングなのかわかりませんが。
講師:彼の述べたことを、別の機能、すなわち意思決定の練習というフレームの中に置き換えたのです。
男性:妻は心を決めるのにひどく時間がかかるのです。洋服を買うにも、店中の品物を全部見比べないと選べないのです。
講師:慎重に決断する性格なのですね。では、世界中の男性のなかからあなたを選んでくれたというのは、光栄の至りではありませんか。
男性:妻に、セックスについての私の希望をもらしたくないんです。言えば、彼女にがまんを強いることになりますから。
講師:でもあなたの希望を言わなければ、奥さんがあなたを喜ばせたいと思っているのを、がまんさせることになりますね。
女性:私の子ども達は、ひどくわめいたり、走り回ったり、たいへんなものです。
講師:外で遊んでいる時や、スポーツの催しの時には、お子さん達の、そののびのびした姿を見て、ご主人とともに、子ども達を育てたことに、きっと満足なさることでしょうね。

今度は私が訴えを出しますから、皆さんでリフレーミングしてください。
「上役にしょっちゅう注意されて、みじめな気分なんです」。
男性:彼は、あなたの仕事に注目していて、好意をもっているからこそ、もっとよくやってほしいと思うのですよ。
講師:結構です。次は、
「私は、だらしないわ」。
女性:したくないことを頼まれて、それに過度に適応しようとして心臓発作を起こす人達のことを考えてみましょうか。

(星和書店「神経言語的プログラミング『リフレーミング』心理的枠組の変換をもたらすもの」p.10-13より)

リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの
リチャード バンドラー
ジョン・グリンダー
星和書店
1988-04-08


NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
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