◎rapportの語源
英語の rapport(ラポール)ということばは、フランス語の rapporter という語に由来しています。この rapporter ということばには、もともと〈戻す、返す〉という意味がありました(参考:ランダムハウス英和大辞典)。フランス語から借用されたことばということで、語末の-tの発音が省かれて「ラポール」と読まれます。
◎rapportの意味
語源的には〈戻す〉という意味をもつこのことばですが、現代英語では語源とほとんど関係のない意味で用いられています(参考:ランダムハウス英和大辞典)。
(1)(・・・との調和的・共感的な)関係、接触。 例)a teacher trying to establish close rapport with students「生徒たちと親密な結びつきを作ろうとしている教師。」
(2)〔精神医学〕〔心理〕ラポール、(意思の)疎通性:精神科医と患者、心理テストの実験者と被実験者との間に不可欠な同調的関係。
(3)(交霊会で霊媒による)交信、交霊。
二つ目の説明にあるとおり、rapport は精神医学あるいは心理学の専門用語として使われることの多いことばです。日本語としても徐々に使われるようになっています。専門的な意味でのラポールとは、カウンセリングや心理テスト、教育の場面で重要視されるもので、「心が通い合っている」「どんなことでも打ち明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられるような関係を指します(参考:ブリタニカ国際大百科事典)。
◎rapportの関連語
Rapportの関連語としては、「報告」や「報道」などの意味をもつ report(レポート/リポート)ということばが挙げられます。Rapport も report も、語の形成としてはre-(再び)+ -port(運ぶ)という2つの要素から成り立っているところが共通しています。
◎補足:rapportということばの語源にまつわる俗説
ウェブサイトによっては「ラポールには〈橋を架ける〉という意味がある」と説明しているものもありますが、これは言語学的にいえば不正確です。語源の項で説明したとおり、もとのフランス語のrapporter には〈返す、戻す〉という意味しかありませんでした。そこから逆形成(back formation)をへて rapport ということばが生み出されましたが、現代フランス語での使用においてさえ「つながり(connection)」「比率(ratio)」「関係(relationship)」「性的な交わり(sexual intercourse)」「収益(yield)」などの意味をもつのみであり、「ラポールには〈橋を架ける〉という意味がある」との説明は出典不明の俗説と言わざるをえません(参考:https://www.collinsdictionary.com/dictionary/french-english/rapport)。とはいえ、ラポールが「人と人とをつなぐ信頼関係」を指すことばとして用いられているのは事実であり、そこから連想を働かせることで〈橋〉として比喩的に理解することはできるでしょう。
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ニューコードNLPスクール
記事更新日:2022/05/27