NLPの起源と、これが創始された当初のモデリング・プロジェクトについてはご存知でしょう。1970年代始めという騒々しい時代(a heady time)に、ある二人の男が偶然出会いました。ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーです。二人の間に一つの新しい世界が生まれました。それがNLPです。二人は、選ばれた天才たちの言動と言語パターンに等しく魅せられ、そのパターンを再現し、人々に教えたいという強い思いを共有したのです。天才たちのパターンを再現しコード化するためにグリンダーとバンドラーが採用したプロセスは、モデリングとして知られるようになりました。トレーナーであるあなたが常に意識しておかねばならないことは、モデリングこそがNLPの基本的なスキルであるということです。現在のNLPではほとんど、グリンダーとバンドラーがモデル化したパターンの適用が中心となっています。


オリジナルのNLPでは、三人の天才たちがモデリング・プロジェクトの対象になりました。その三人とは、フリッツ・パールズ、ヴァージニア・サティア、ミルトン・エリクソンです。彼らは専門的な変化の仲介者(agents of change)であり、それぞれ得意分野で並外れた結果を出していました。彼ら天才たちは、グリンダーとバンドラーに自分たちの言動について何ら意識的に表現はしませんでした(パールズについては驚くことはありません。なぜなら、彼はグリンダーとバンドラーが出会って仕事を始めた時にはすでにこの世にいなかったのですから)。バンドラーと彼の同僚のフランク・ピューセリックは、パールズの亡くなる前に、純粋に真似ることで彼の言動を捉えました。三人の天才たち、フリッツ・パールズ、ヴァージニア・サティア、ミルトン・エリクソンは、無意識の卓越性(
unconscious excellence)に基づき、それぞれの魔法を行っていたのです。


この天才たちの専門分野についての知識をほとんど持ち合わせないまま、グリンダーとバンドラーは2年をかけて天才たちの言動の核心部分を明らかにするため、それこそ病的ともいえる熱意で取り組みました。グリンダーとバンドラーは、天才のパターンをノーナッシングステート
know nothing state)で学習しました。


NLP
の共同開発者たちは、変形文法のパターンを表現形式として用い、彼らの作業の成果を言語ベースのモデルにコード化しました。要するに、モデリングによってグリンダーとバンドラーは天才たちの暗黙のスキルを明らかにしたのです。そのようにして、NLPが誕生しました。

グリンダーとバンドラーが1970年代に運営していた会社は、人間行動の何たるかを問いかける者たち(minds) のいわば坩堝(るつぼ)のようでした。ジョン・グリンダーはカリフォルニア大学サンタクルーズ校の准教授、リチャード・バンドラーは4年生でした。クレスジ大学に着任したばかりの世界的な人類学者、グレゴリー・ベイトソンはグリンダーとバンドラーの仕事に興味を持ち、ミルトン・エリクソンに二人を紹介し、さらに二人への支援とフィードバックを申し出ました。二人に対するエリクソンの関心の深さは、後に 「魔術の構造 (Structure of Magic)」に寄せられた紹介文ににじんでいます。そこで彼はこう述べています「ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーは、私が同僚と15年前に試みたことを成し遂げている。」

1975
年、グリンダーとバンドラーは 「魔術の構造 III で、最初の二つのNLPモデルを初めて世界に発表しました。著名な出版社 "Science and Behaviour Books Inc" がマップにNLPを載せたことで、NLPという新しい分野への関心は瞬く間に広まりました。コミュニケーションや行動、変化の分野に関わる人々は、変化のワークでめざましい結果を得る方法を学ぼうとしました。グリンダーとバンドラーは、自分たちのモデルの適用の中でトレーニングコースを進んで提供しました。共同創始者たちがNLPの基本的な活動と考えていたモデリングの一部分として、NLPのトレーニングコースが始まったのです。グリンダーとバンドラーが主宰したトレーニングコースは、モデルの重要なテストの一つを提供しました。すなわち、他の学習たちがモデラーたちによってコード化されたパターンを使い、元のモデルと同様のパフォーマンスの変数(performance variables)を達成できるよう、彼らにコード化されたパターンを伝えられるかどうかのエビデンスを示すテストです。

そのようにして、NLPは卓越性のモデリングの手段としてスタートし、すぐに非常に活動的なトレーニングの一部分という側面を持ち、さらにトレーニングの結果としてNLPの適用が始まりました。NLPの適用の場では、NLPモデルのトレーニングを受けた人々が、それぞれのスキルをビジネスあるいは個人的な利益のために適用しています。

NLP
を専門的に使う人々の傾向を見ると、適用に関わる人々が大多数で、モデリングに積極的に関わる人々は少数派です。NLPのモデリングはより純粋なスキルで、トレーニングや適用よりも論理レベルがはるかに高いのです。言い換えれば、NLPのモデラーはトレーニングと適用に長け、NLPのトレーナーは適用技術が優れていなければならないということであり、その逆は正しくありません。つまり、NLPの適用のみに関わる人々は、トレーニングあるいはモデリングに長じる必要はないのです。

NLP
が適用とトレーニングに焦点を合わせているいま、上記のことが現代NLPのパラドックスとなっています。しかし、この分野を繁栄させるには、「新しい」モデリング・プロジェクトが切実に必要です。グリンダーとボスティックは、このパラドックスを覆そうと呼びかけています。NLPの適用はモデリングから始めるべきで、そこにこそ新しい一連のパターンが生まれると唱えているのです。

滝










NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士認定校
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記事投稿日:2022/05/28