New Code NLP School

NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士とNLP共同開発者カルメン・ボスティック・サンクレア女史が監修するニューコードNLPスクールの公式ブログです。

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NLP関連書籍(国内)

周辺視野を広げること

1986年3月に、米国カリフォルニア州サンフランシスコで、NLP共同創始者ジョン・グリンダー博士とNLP共同開発者ジュディス・ディロージャ女史が共同で、「個人的な天才になるための必要条件」という5日間のワークショップを開催しました。このワークショップの初日、「命綱を備えて世界を止める」というテーマの中で、ジョン・グリンダー博士は、自分の視野を、中心視野から周辺視野に移すことによって、内的対話(悩みや苦しみ)を沈黙に変えることができると説明しています。そしてこのワークショップ以後、ニューコードNLPにおいて、「周辺視野を広げる」というエクササイズは必須となっています。

以下に、ワークショップの内容転記(抜粋)をご紹介します。

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ジョン・グリンダー博士&ジュディス・ディロージャ女史共同ワークショップ「個人的な天才になるための必要条件」第1日目、「命綱を備えて世界を止める」より

ジュディス・ディロージャ女史:
皆さんは、「世界を止める」の表現の元は誰か知っていますよね・・・・・・。

ジョン・グリンダー博士:
・・・・・・カルロス・カスタネダです。世界を止めるというのは、内的対話を止めることです。
「世界を止める」状態を達成するには、2つの最小限の必要条件があります。理解と、経験をすでに自分が知っていることに関連づけることで理解する方法についての議論を思い出してください。これは、あなたが自分の世界を維持させる1つの方法です。どの新しい入力も、特に中枢神経系と意識に達する前に自分がすでに知っていることに再コード化される場合は、一方ではホメオスタシスのレベルに混乱が起こりませんし、他方では何も新しいことは学ばないことになります。ですから、世界についての継続的な口頭による記述は、自分がすでに知っている世界を維持し、分類化し、再コード化する1つの方法です。2つ目は「中心視野」です。ご存知のように、網膜には1億6千万の錐体細胞と桿体細胞があります。数がはるかに少ない視神経路が存在します。ここで視神経を交差まで移動し、さらに各レベル、各シナプスまで移動すると、還元主義的な機構が使用されています。変形に継ぐ変形に継ぐ変形に継ぐ変形・・・・・・が起こります。

あなたは、私を見ているのではありません。自分の後頭葉で起こっている出来事を見ているのです。

グレゴリー・ベイトソンは、「目を閉じて見る木の方が、目を開けてみる木よりもさらに自分の真実に近い」と言いました。「木を見る」というあの後頭葉の出来事に影響を与える外的パターンは存在しないので、外的に調整すべきものをもたない場合、木を変えることは私にはより容易です。人間の神経系の喜びと危険性は、知覚フィルターを周辺部に向かって押し出しすぎて、何を削除しているか自分でわからなくなる点です。それは、アランとブリットが提示した、現代文化では「常識」と呼ばれている認知ストラテジーを、中枢神経系である状態を達成する前に差異が破壊されてしまうような形で周辺部に向かって押し出してしまうことです。私たちの神経系は、信じられない程度まで、すでにそのことを行っています。網膜には1億6千万の錐体細胞と感覚器官があり、視神経路の数ははるかに少ない事実は、私たちが見ているのはそこにあるものではないということを示唆しています。それは、網膜上の該当の物体からの反射される光のパターンを特殊な形に変形したものです。

期待とは何でしょうか?求心性神経と遠心性神経の間の連絡がどういうものであるか説明できる知識のある人はいますか?私の視野の外にあるものを私の手または足が触った場合、私は、その信号が私の中枢神経系に達する前にその手または足を引っ込めます。そのループは、脊髄で起こります。そして、生物体への損傷を防止するという観点からは、このことは非常に意味があります。しかし、自分の先入観を、筋肉緊張の使用と不使用、萎縮とパターンの同じ機構によって、周辺器官に向かって押し出すと、私たちは、学習することができない自己本位の不浸透性の体系になってしまいます。なぜならば、私たちは、このとき周辺部での差異を破壊しているからです。中心視野から周辺視野に移り、内的対話を沈黙に変えることが、私たちがこのワークショップで達成しようとしている審美的な設計に基づき、二次的注意にアクセスを確立する方法として極めて重要となります。

カルロス・カスタネダ風に言うと、「世界を止める」という集中した状態、すなわち、内的対話と中心視野を排除し状態を達成するには多くの方法があります。ミルトン・モデルのような二次的注意のスキルを用いることができるのであれば、トランスを使ったワークでこれを達成することができます。N ステップ・リフレーミングのようなツールを使うこともできます。これは、一次的注意と二次的注意の関係性を確立して、あなたがこの種類の経験をもっていることを一次的注意から提案し、不随意の二次的注意シグナルによって、その提案を受け入れられたことを確認するというものです。

ジュディス・ディロージャ女史:
あるいは、自分が実際に、あまりにも集中して、内的対話をもっていなかったことに気づくことがあるでしょう・・・・・・。

ジョン・グリンダー博士:
・・・・・・それから再アクセスします。

ジュディス・ディロージャ女史:
・・・・・・その状態に。そしてその状態を「アンカー」します。

(ジョン・グリンダー博士&ジュディス・ディロージャ女史「ニューコードNLPの原点−個人的な天才になるための必要条件」北岡泰典訳、メディアート出版p.121-124から引用)

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ニューコードNLPの原点 個人的な天才になるための必要条件

自触媒的な治癒を促す(2)

心身のコミュニケーション精神精神生物学

心身コミュニケーションの新しい言語

自触媒的な治癒を促す

自触媒的な治癒を促す方法をいつどのように使うかを知るには、葛藤のさい典型的に見る夢を利用するのが一番いい。セラピストはクライアントに、手のひらを上にして両手を広げ、夢の中で体験していることを感じてみるように求める。そして夢の中でどんな姿あるいは力が対立しているかに応じて、たとえばどちらの手が夢を見ている自分で、どちらの手が自分を追いかけてくる怪物だと感じられるかをクライアントに尋ねるのだ。これは指針9の指信号法でイエス、ノーを表わす指を決めるようにクライアントに求める第一段階と、いくぶん似通った作業である。典型的なアクセス質問法としては、次のようなものがある。

「どちらの手が夢の中のあなたで、どちらの手があなたを批判する監督者だという感じがしますか」

「夢の始めの部分で、あなたはどちらの手に冷たさを感じますか。また、どちらの手に、突然現れた火山のような熱さを感じますか」

「夢の中であなたが感じた痛みを、どちらの手が感じましたか。そしてどちらの手が、その痛みを治すために飲んだ魔法の薬のように感じましたか」

「どちらの手があなたに怒りを感じさせ、どちらの手が恐れを感じさせますか」

「あなたの身体の左右のどちら側があなたの母親(あるいはクライアントが対立している他の重要な人物)で、どちらがあなた自身のように感じますか」

「どちらの手があなたの中の大人の部分で、どちらの手が子供の部分と感じますか」

「あなたの性的な面はどんな感覚を感じますか。また、恐怖の面ではどんな感覚を感じますか。それに注意してください。そして、それらはそれぞれ身体の左右のどちら側なのか、教えて下さい」

「あなたはその頭痛〔その他何でも〕を、何とかしたいのですね。(・・・・・)両方の手のそれぞれにじっと集中してください。どちらの手が、その頭痛を多少でも感じていますか。(・・・・・)その手が感じる頭痛がほんのちょっとの間、だんだん強くなっていきます。あなたの中で何かが起きてきますか。(・・・・・)〔クライアントはしばしば、頭痛がもとの場所からどちらか一方の手に自然に移動したと言う〕さあ、どうしてあなたの手が頭痛を感じているのに、頭には何も感じないのかという、その不思議さを感じてみて下さい。それで、もう一方の手は何ともありませんか。そっちの手で、痛い方の手を助けられますか。さあ、その痛痛くない方の「癒しの手」がどうやって痛い手を助けるのかという、不思議さを感じて下さい。(・・・・・)

そこで探っている葛藤が何であれ、クライアントが、どちらの手がどう感じるかを告げたら、セラピストは第二段階に進んで。こう告げる。「さあ、ともに活動を始めたあなたの2つの面の間でこれから起こることを、ただ感じて下さい。− 2つの手に何が起こるか(間)見てみましょう」本当に重要でどうしても知りたい問題がからんでいれば、クライアントは普通、何かに魅せられたように両手を見つめる。両手は普通、クライアントの特性に従って、上がったり下がったり動いたりし始め、無意識レベルで起きているであろう葛藤を表わす、観念力学的感覚 − 知覚的行動、または運動 − 自己受容的行動を表現し始める(指針1の「流れにまかせる」p.120参照)。このプロセスを端的に言えば、「無意識がもつ観念力学が、目に見える行動に表現されている」ということである。

とらえどころがなく包括的ともいえないフロイトの「自由連想」、私的な面をもつユングの「能動的創造(アクティブイマジネーション)」、そして、F・パールズの「ゲシュタルト療法の外面的な対話」(クライアントのあるがままの外面的状態に対し治療的介入の言葉をかける)が、「自触媒的な治癒」(autocatalytic healing)というさらに包括的で自己生成的な新しいプロセスにまとめられたわけである(夢のワークにおける「新たなる創造」の例を多くあげた、Rossi, 1972/1985を参照)。この方法はセラピストによる解釈をほとんど必要とせず、それ自体で洞察と治療を完結させるので、クライアントは自分が力を得たように感じる。自触媒的な治癒と発見の真のプロセスにおいては、クライアントとセラピストはともに参加者であり観察者なのである

セラピストは、その場にふさわしい不思議と驚異の念をもってこの自己発生的なプロセスを観察し、支えるだけでいい。とくにクライアントがしばしば自然に自己洞察と問題解決に至る第三段階にあっては、セラピストは多くの未完了のフレーズやセンテンスを使って、期待を抱いているような、断定を避けた口調を保ちながら問いかけ、その合図によってクライアントが内面の「空所を埋めていく」プロセスを促すのが賢明な方法である。セラピストが通常の高揚感のある声の調子にやや懐疑的な態度を混ぜるといいこともある。そうしてセラピストが疑いの念を表わすことで、懐疑的なクライアントが疑いを表明する必要性を和らげるのである。セラピストにもクライアントにも最初は何だかわからないとしても、何か創造的なことが起こっていたりするのだ。実際、この治療的プロセスが自触媒的、創造的なものになるには、真の驚き、ある程度の無意識性(自分の思考、感情、行動を方向づけ、コントロールしているというふつうの感覚の外にあること)、何が起きるかわからないという予測不可能性がなければならないそうでなければ、刺激−反応型の心理学にもとづく時代遅れの権威主義的なセラピストが映画の中でやっているような、クライアントに指示にプログラムする「専門家」の役割を演ずるセラピストとの、伝統的な「対話療法」と変わらないものになってしまう。(精神生物学p.170-173から引用)

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〔指針10〕自触媒的な治癒を促す

1.葛藤の両面を同時に体験する
「あなたは自分の精神的な面と、過食する面との間で戦ってきました。それでは、手のひらを上にして両手を前に出し、どちらの手が自分の精神で、どちらの手が過食する自分のように感じられるのか教えて下さい」

2.内的葛藤を体験し、外面化する
「今は一緒に活動しているあなた自身のその両面の間で何が起こるか、ただ体験してみて下さい」〔クライアントの体験がどんなものであれ、セラピストはただ能動的想像による内的なドラマを促す。その間に、指針1にあげたあらゆるモードで、驚くような体験が両手の間で無意識に外面化する〕

3.葛藤の解消と自己強化を促す
「そうです。その二つの面で続けさせてください・・・・・それでいいのです。さあ、今度は自然に何が起こるでしょう・・・・・これが続いていく中でも、いちばん興味深いのは何でしょう・・・・・どうすればすべてが一つにまとまるのでしょう・・・・・」

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精神生物学(サイコバイオロジー)―心身のコミュニケーションと治癒の新理論
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自触媒的な治癒を促す(1)

心身のコミュニケーション精神精神生物学

心身コミュニケーションの新しい言語

自触媒的な治癒を促す

これは基本的アクセス質問法のバリエーションの1つであり、手、指、その他あらゆる種類の無意識に発せられる身体的信号を、比較的形を定めずに用いる方法である。より創造的な、自由な体験から自触媒的な治癒を促す方法であり、これに適したクライアントであれば、短期間で洞察を得、症状や葛藤を解消することができる。「閉じ込められた」あるいは「わからない」と感じるような体験が、指針8の三段階問題解決法を適用する指標となるのと同様に、行動あるいは人格表現での複数の選択肢の間で「葛藤がある」と感じる体験が、この自触媒的治癒を行う指標となる。

人が「葛藤」を抱くのは、その人の人格のそれぞれ異なった面が自然に解離した形でいろいろな時に現れるという、自然ではあるが奇妙な心理的特性のゆえである。たいていの人にとっては、愛と憎しみを同時に感じるのは難しいように見える。普通は「闘争か逃走か」であって、同時に両方ということはまずない。このような葛藤は、治療の中でクライアントに両方を体験させる心身の間のサイコドラマ(心理劇)を組み立て、洞察へと導くことで解消できる(Lightfoot, 1992)。セラピストが最初にするべきことは、クライアントが人格内の対立する両面の力を自ら体験し、この両面が自触媒的な治癒に入っていけるよう、アクセスのための基本的な質問を組み立てることである。(精神生物学p.169から引用)

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鼻呼吸のサイクル

心身相関的な治癒の精神生物学

心による自律神経系の調整

意識と存在の波動性〜精神生物学的なリズムと自律神経系〜

D.ワーンツは、この大脳半球での優位性に影響しているウルトレイディアン・リズムが、〔左右鼻孔の〕鼻呼吸の同様な交代と、左右逆のかたちで結びついていることを発見した(Werntz, 1981)。すなわち左の鼻孔が開いて空気を取り入れている時、右脳の活発な活動を示す脳波が現れ、その逆も同様だったのである。さらに研究を続けたワーンツは、呼吸を左右の鼻孔の間で変化させると、左右大脳半球の優位性も変わることを発見した(Werntzほか, 1981)。鼻呼吸のリズムは、大脳半球の活動にとって、ただ開かれているだけの窓ではなく、左右鼻孔間の空気の流れを意図的に変えることで、脳と心の最も高いレベルにある右脳と左脳の活動を変化させることができるのである。彼女らは、この関係を自律神経系と結び付けて、次のように説明している(Werntzほか, 1981,pp.4-6)。

私たちは、鼻呼吸のサイクルと大脳半球の活動交代との相互関係は、ウルトレイディアン・リズムにもとづくひとつの振動システムのモデルによるものと考え、神経系の理解に新しい概念を打ち立てた。(中略)私たちがここで提案するのは、あらゆるウルトレイディアン・リズムと、自律神経系によるそれらのリズムの調整とをひとつにまとめる−具体的には自律神経系と左右大脳半球の活動を統合する−より完全で総合的な理論の枠組みである。ここで間違いなく言えるのは、左脳と右脳のそれぞれに局在する「別個のかたちの知性」は、その作用の全般的な傾向から見ても、脳とは左右逆の半身の代謝の活性化を必要とするということだ。そう考えれば、鼻呼吸の左右交代のサイクルは、この理論を考察するにあたり、測定が容易な指標、あるいは「窓」のようなものとみなすことができる。(中略)したがって身体は、休息と活動、すなわち副交感神経支配と交感神経支配の間での周期交代をしながら、同時に「左半身−右脳」と「右半身−左脳」の交代を経験しているのである。そしてこれが、瞳孔の開き具合からより高次の大脳の皮質の機能や反応にいたるまでの、人間のあらゆる組織レベルでのウルトレイディアン・リズムを作り出すのである。(中略)重要なのは、これが自律神経系と大脳皮質の活動の包括的な統合という、これまで定義も研究もされていない関係を意味しているということである。鼻呼吸の周期は、何らかの中央制御のメカニズム、おそらくは交感神経と副交感神経のバランスを変化させる視床下部の働きによって調整されていると思われるので、この交代は脳を含む全身で起こり、そのしくみは、血管運動の強弱が脳血管の血流を調節し、それによって大脳半球の活動を変化させることによるものであることを、私たちは仮説として提示したい。

何千年にもわたり東洋のヨーガ行者たちは、彼らのいう「プラーナヤマ」(呼吸法)を実践して呼吸を調整し、それによって意識状態を調整できると主張してきた(Rossi, 1985, 1986a)。また彼らは、身体生理への奇跡的コントロールとされるものは、呼吸リズムの意識的調整と関連するものだと主張してきた。このような心身コントロールの達人技は、おもに自律神経系にかかわるものだから、ワーンツの研究は、古代からのヨーガの伝統への理論的、実証的な架け橋となるかもしれない。

(中略)カリフォルニア州ラ・ホーヤにあるジョナス・ソーク研究所のD.シャナコフーカルサは、自律神経系に関連するいかなる心身の状態あるいは心身障害の研究も、鼻呼吸リズムを利用して左右大脳半球の優位性を切り替えることによって、安全かつ容易に行うことができると述べている(Shannah0ff-Khalsa, 1991)。私も以前、このやり方で左右大脳半球の優位性を切り替える方法を、いくつか詳しく解説したことがある(Rossi, 1986a, b)。私が好む方法は、ただ身体のどちらかの側を上にしてゆったりと横になるというものである。例えば、右を下にして横になると右の鼻孔が詰まってきて、反対に左の鼻孔は2,3分のうちに通りがよくなる。そしてそれにともなって、右脳の反応が高まる傾向があるのだ。左側を下にすれば左脳が活発になる。

催眠と精神生物学的なリズムとの関係を追求する近年の研究でもっとも興味深い分野が、この鼻呼吸と脳の関係である。ドイツの鼻科学者R.カイザーは、空気が左の鼻腔と右の鼻腔から吸入される度合いが大きく変わるウルトレイディアン・リズム的な変化に気づき、これを測定した功績で知られている(Kayer, 1895)。人間の場合、数時間ごとに左右の鼻腔はその大きさと形が切り替わり、通る空気の流れを変える。ワーンツは、大脳半球の活動(脳波)と鼻呼吸周期のウルトレイディアン・リズムの左右逆の関係を報告している(Werntz, 1981)。彼女は右脳の脳波が全体としてかなりの部分をしめることと、左の鼻孔での呼気支配との間に正の相関関係があり、左脳はそれと対称的であることを発見した。広範な研究を行ったワーンツらは、1つの鼻孔を閉じて強制的にもう一方の鼻孔で呼吸させることで、鼻呼吸の優位性は意図的に交代させられるとの結論を得た(Werntzほか, 1982a, b)。さらにこの鼻呼吸の優位性の交代は、鼻孔とは左右逆の左右大脳半球の優位性の切り替え、および全身の自律神経系のバランスの切り替えとつながっていたのである(Shannahoff-Khalsa, 1991)。ウルトレイディアン・リズムにもとづく鼻呼吸のサイクルは、大脳半球の活動指標となるばかりではなく、身体のほとんどの器官系、組織、細胞とのコミュニケーションを行うサイバネティック・ループにかかわる脳の高次中枢と自律神経系の活動の場を、意図的に変える手段として利用できるのだ。この鼻−脳−心のつながりが、東洋の達人たちが行う、ヨーガ古来の呼吸調整によって多くの自律神経系機能の随意的なコントロールをもたらす、本質的な経路だろうと推測する研究者もいる(Brown, 1991a, b; Rossi, 1990b, 1991)

最近発表されたD.オソーヴィエッツの博士論文は、この関係に触発されたものである(Osowiec, 1992)。彼女は鼻呼吸のウルトレイディアンリズムと、不安、ストレス症状、および人格の自己実現プロセスとの間には関係があるという仮説を検討した。そして、「(1)不安やストレス症状の傾向が低い自己実現タイプの人と、正常な鼻呼吸サイクルとは著しい正の相関関係があること、(2)不安やストレス症状の傾向が高い非自己実現タイプの人は、鼻呼吸サイクルに著しい不規則性が見られること」を発見した。この結果は、不規則な鼻呼吸サイクルは、とくに一方の鼻孔だけが極端に長期間詰まっている場合、病気や精神障害につながると強調した古い医学の教科書を思い起こさせる(Rama, Ballentine & Ajaya, 1976)。

最近行われた12週間の追跡調査で、オソーヴィエッツは、催眠誘導しやすい被験者は自己催眠を行うと鼻呼吸のウルトレイディアン・リズムに高い規則性を示すが、催眠誘導しにくい被験者はそうでないこおを立証しつつあるということだ。彼女はウルトレイディアン・リズムにもとづく鼻呼吸のサイクルについてのこの発見は、ストレス、症状、人格、催眠療法への反応性の間に見られる全般的な関係と軌を一にするという仮説を立てている。

催眠と鼻呼吸−脳との間につながりがあるという仮説をさらに検証するため、B.リッピンコットは二種類の催眠誘導の効果を調べた(Lippincott, 1992c)。すなわち、(1)「ハーバード催眠感受性集団尺度」(The Harvard Group Scale of Hypnotic Susceptibility: HGSHS)を用いる伝統的催眠と、(2)鼻呼吸リズムに従い、私の「ウルトレイディアン・アクセス法」を用いる自然主義的な催眠法である。彼は、催眠が左右大脳半球の優位性の交代と関係があるのなら(Ericksin & Rossi, 1979)、催眠誘導は鼻呼吸における左右の優位性とも関係があるのではないかという仮説を立てた。そして、どちらの催眠法を用いた被験者も、催眠導入をしていない対照群と比べると、鼻呼吸での左右鼻孔の交代をより多く行うこと、さらに自然主義的な催眠誘導のグループの方が、伝統的な催眠誘導グループより鼻呼吸の交代が著しく多いことを確認したのである。

〔指標12〕に記した簡単な方法で予備調査をしたところ、非常に興味深い結果が得られた。たとえば、単なるストレスや過労による機能性の頭痛は、ただ鼻呼吸のリズムを一方の鼻孔から他方へと変えるだけで、比較的速やかにその強さと部位が変わったのである。何人かの患者は、鼻呼吸の左右の優位性を変えることで、頭痛を心地よい暖かさや涼しさなどに、観念力学的に変えることができると報告した。不機嫌、不快感、身体的な不調は、この方法で5、6分間の感覚の変換を試みていくと、より意義深い気づきとともにイメージや実感にのぼってくる。他の文献では、ウルトレイディアン・リズムにおける休息期に大脳半球を右脳優位に変えることで、「明晰夢遊状態」(Lucid somnambulism)という深い自己催眠状態にアクセスした体験をいくつか発表したことがある(Rossi, 1972/1985)。

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〔指標12〕左脳大脳半球の優位性の交代と心身の状態

1.鼻呼吸での左右鼻孔の優位性と心身の状態を判断する
「今あなたが経験している心身の状態を探究し、それを変えていきたいと思われるのなら、まず左右どちらの鼻孔が通っているか確かめて下さい」

2.鼻と大脳半球の左右の優位性を交代させる
「通っている鼻孔のほうが下になるようなかたちで、横向きに寝て下さい。これによって、数分のうちに、あなたの大脳半球の優位性が下になっているほうに移ります。次の5分から20分のあいだは、感覚、知覚、情動、認知、あるいは症状などが自然に変化するのをただ受け止め、不思議さを感じていて下さい」

3.左右大脳半球の優位性の変化と、心身の状態の切り替わりを確認する
「まっすぐ座った状態で、前は詰まっていた鼻孔は今は通っていること、そしてこんどは反対側が詰まっていることに注意して下さい。こうして鼻と大脳半球での優位性が交代したときの、心身の状態の変化を覚えておいて下さい。そして自分の反応の特徴的なパターンを調べ、これからの指針にして下さい」
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U.アルヤ博士はその著作「瞑想と死の技法」(Meditation and the Art of Dying)(Arya, 1979)に、鼻呼吸のサイクル、性的オルガスム、および「サマディー」(瞑想の最高の境地。三昧)との興味深い関係を記している。それによると、古いヨーガの文献では、性的オルガスムや「サマディー」での最も深い瞑想状態の間は、両方の鼻孔が開くとされている。博士は、この種の瞑想におけるエクスタシーは、「クンダリーニ〔訳注・蛇の姿で象徴的にあらわされる生命エネルギー〕の急上昇によるもので(中略)、禁欲は容易となり、性行為より大きな歓びをもたらす」と述べている。この観察報告を検証するのは、西洋科学の役目であろう。

自律神経系、左右大脳半球の優位性、行動の関係についての以上のような予備研究は、催眠療法、心身相関的な治癒、人間の潜在能力の喚起に関する新しい精神生物学的な研究を発展させる、非常に広範で興味深い可能性を開くものである。ここでもう一度、p.213の図7を見ていただければ、この章でふれた多くの研究の深い広がりがわかるだろう。図7は、自律神経系の制御を受ける心と、身体と、身体の各細胞内の分子プロセスとの間の情報変換の完全な経路を示している。この情報変換の経路は、私たちが毎日の生活から得た記憶、学習、行動を状態依存的にコード化することで、無意識のレベルで常に自動的に調整されている。研究と臨床実践を続けることにより、これらの心身プロセスをより意志的に促すさらに広い道が開かれることだろう。(精神生物学p.236-243から引用)

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精神生物学(サイコバイオロジー)―心身のコミュニケーションと治癒の新理論
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バイブレーショナル・メディスン(3)

【人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩の歴史〜】(その3)

1778年、ひとりの革命的なヒーラーが探究の道をさらに一歩前進させました。患者がキリストやヒーラーの力を信頼していなくても著しい治療効果が得られると主張する人物が現れたのです。それは、ドイツの医師フランツ・アントン・メスメル(独:Franz Anton Mesmer,仏:Frederic-Antoine Mesmer,1734-1815)です。

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フランツ・アントン・メスメル
(独:Franz Anton Mesmer,仏:Frederic-Antoine Mesmer)









メスメルは、患者が治療したのは、宇宙に遍満する流体(fluide)というエネルギーを利用したからであると主張しました。メスメルは、この流体が、宇宙に遍満する微細な液状物質で、人間とほかの生命体、生物どうし、地球や天体と結びつける媒体であると主張しました。(この説は、パラケルススの医学体系における宇宙観と同じです)。メスメルは、自然界のすべての存在は特定の力を持っており、その特殊な力の働きによって他の存在の上にそれ自身の存在を顕現させられると述べています。彼は、あらゆる物体・動物・植物、そして鉱物の中にまでその不思議な媒質が浸透していると考えていました。

メスメルは、ウィーンにおける医学研究時代の初期の頃、患者の病変部位の上に磁石をかざすと病気が治る場合が少なからずあることに気づきました。また、神経疾患をもつ患者においては、磁石の刺激が異常な運動を引き起こす傾向があることもわかりました。メスメルは、磁気治療が成功している時は筋肉の大きな痙攣(けいれん)や反射が頻繁に発生すると記録しています。やがてメスメルは、治療がうまくいくのは、磁石を伝導体として、彼自身の体内から生じたエーテルの流れが患者の体内に注入され、微細エネルギー的な治療効果が生まれたためであると信じるようになりました。そして、その「生命力の流れ」が磁気的な性質を帯びているものと考え、それを(無機物や鉄に対してはたらく磁気と区別するために)動物磁気(magnetisme animal,Animal magnetism)と名付けました。

動物磁気をもちいた治療によって、筋肉の不随意的な痙攣(けいれん)や振顫(しんせん)が起こることから、メスメルは研究を通じて、微細エネルギーの流れが神経系と関連しているのではないかと考えるようになりました。彼は神経と生命力の流れが全身に流体を輸送し、流体が供給された部位が活力を取り戻すという仮説を立てました。メスメルの流体という概念は、古代中国の「気」とも通じているように見えます。気エネルギーも、経絡系を流れて神経と身体組織に生命力を供給するものです。

メスメルは、健康とホメオスタシスの基礎には、生命を維持し、制御している磁気的な流体のはたらきが欠かせないと確信しました。彼は、このような生体磁気と適切な相互作用をもち、基本的な自然法則と調和しているときに、人は健康でいられる。そして、病気は、肉体と、そうした自然の微細な力とのあいだの調和が乱れたときに発生すると考えました。

メスメルはさらに、その普遍的な力を生み出す最良の供給源は人体そのものであると確信するようになりました。そしてそのエネルギーの流れの最も強い放出点は手のひらであると考えました。これによって、治療家が手を患者の身体に触れて治療を行えば、患者に向かってエネルギーが直接流れるという磁気的パスを考案しました。この治療法は、フランス革命をむかえていたこの時期において、彼自身の影響力によって、フランス国民の間で大流行することになりました。

しかし不幸なことに、当時の科学者の多くは、メスメルの治療法を、単なる催眠術、あるいは暗示効果であると考えていました。一部の科学者は、いまだに催眠のことをメスメリズム(mesmerism)と呼ぶことがあり、「メスメライズ」という言葉は、現在でも「催眠状態にする」という意味に使われています。

1784年、フランス国王は、メスメルの治療実験の真偽を調査委員会に諮問しました。その委員会のメンバーには、科学アカデミー会員、著名な医学者、そして、アメリカの政治家であり科学者でもあったベンジャミン・フランクリンなどが参加しました。彼らが計画した実験は、「治療に成功した症例の背後には磁気的な流体という力が存在する」というメスメルの主張の真偽を確かめるものでしたが、残念ながら、委員会によって計画された検査のいずれもが、流体の医学的な効能の測定とは無関係なものとなりました。この権威ある委員会が最終的に下した結論は、「流体は存在しない」というものでした。患者に対する治療効果そのものは否定しませんでしたが、その効果は、感覚的興奮、想像力、(他の患者の)模倣によるものだと考えられました。興味深いことに、医学アカデミーは、1831年に、動物磁気の再検討を行い、メスメルの視点を一部ではあるが公的に認めました。しかし、そのような評価にもかかわらず、その後、メスメルの研究が広く世間に認められることはありませんでした。

手かざし療法の生理学的作用に関する最近の研究によって、治療作用をもつ微細エネルギーが磁気的性質を帯びていることが確かめられてから、研究者たちは、メスメルが人体の微細エネルギーの磁気的性質を何世紀にもさきがけて理解していたことを立証していきました。しかし後述するように、そうした微細エネルギーを従来の電磁気的測定機器によって直接測定する試みが困難であることは、現代でもメスメルの時代とさほど変わりはありません。

メスメルは、この微細な磁気的な力が水に蓄えられることや、治療家が処理した水に含まれるエネルギーが、患者の握る「鉄の棒」を通じて伝わることを発見しました。そして、水に蓄えられた治癒のエネルギーを患者に中継するために、「桶(バケ,baquet)」と呼ばれるエネルギー貯蔵庫を考案しました。

ともあれ、こんにちでは、メスメルを偉大な催眠術師だと考える人は多くても、微細な磁気的治癒エネルギーについての彼のパイオニア的な研究を知る人はほとんどいません。

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バイブレーショナル・メディスン―いのちを癒す「エネルギー医学」の全体像 [単行本]
p.354-357

バイブレーショナル・メディスン(2)

【人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩の歴史〜】(その2)

治癒のメカニズムを調べていた初期の研究者の多くは、そこに磁気のようなエネルギーが関わっているという仮説を持っていました。当時、注目を集めた「生体磁気説」の代表的な論者のひとりに、テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム(Theophrastus Philippus Aureolus Bombastus von Hohenheim)というルネサンス初期のスイスの医師がいましたが、彼はパラケルスス(Paracelsus)という名前でも知られている有名な人物であり、のちに大論争の火付け役となりました。

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パラケルスス(Paracelsus)









パラケルススは、新しい薬物療法の数々を発見し、人間と宇宙との照応関係にもとづく独自の医学体系を築きあげました。その説によれば、人体は、微細な放射物や、空間を隅々まで満たしている流動体を通じて、星やさまざまな物体(とくに磁石)の影響を受けているというものです。パラケルススの説は、人間と天体との結びつきを説明しようとするものでした。彼の医学体系は、人間の病気や行動に対する惑星と恒星の影響に関する、初期の占星術的な考察であるとみることができます。

ここで言及されている人間と天界との結びつきは、微細で浸透的であり宇宙に遍満する流動体、おそらくは「エーテル」の初期的構成物によって成り立っています。パラケルススは、その微細な物質には犲Уづ畧質が備わっていると考え、これが治癒をうながす独特の特性をもたらしていると考えました。そして、その力が手に入り、活用できるのであれば、病気の進行を遅らせたり、治癒に導いたりすることができるだろうとも結論づけていました。パラケルススは、「生命力というものは、個人の体内に閉じこめられているものではなく、光輝く天体のように身体の内外に放射しており、遠く離れた場所にも作用するものである」と述べています。身体周囲のエネルギー場に関する描写が実に正確であることから察して、彼自身が人体のオーラを観察することができたのではないかと思われます。

パラケルススの死後、磁気説は、当時の医師であり神秘家であった英国人ロバート・フラッド(Robert Fludd,Robertus de Fluctibus,1574-1637)に受け継がれました。フラッドは、17世紀初期の代表的な錬金術理論家のひとりと考えられています。
 

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ロバート・フラッド(Robert Fludd,Robertus de Fluctibus)








彼は、光と生命の源としての、健康における太陽の役割を強調し、太陽は地球上に存在するあらゆる生き物に必要な「生命の光線」を供給してくれると考えていました。また、天上から送られてくる不可視の力が何らかの方法であらゆる生命体に顕現しており、その生命力は犖撞曚箸箸發某搬里貌ってくる瓩塙佑┐泙靴拭これは、インドのプラーナという概念と似ており、太陽に内在する微細エネルギーをあらわす概念であり、呼吸を通じて体内に取り入れられるというものです。

神秘家の多くは、ヒーラーが行う「癒しのわざ」は、体内に取り入れたプラーナの流れを視覚化し、意識的にコントロールすることによって、エーテル・エネルギーを患者の体内に手から送り込むことだと考えています。フラッドは、人体に磁気が存在するという説の信奉者でもありました。

(続く)

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バイブレーショナル・メディスン―いのちを癒す「エネルギー医学」の全体像 [単行本]
p.353-354

バイブレーショナル・メディスン(1)

NLPマスタープラクティショナーコースでは、「トランス」について学んでいくなかで、トランスの歴史についても触れていきます。これについて、「ヒーリング」という観点からまとめている本がありますので下記のご紹介します。

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バイブレーショナル・メディスン―いのちを癒す「エネルギー医学」の全体像 [単行本]

下記に、この本の一部を、ご紹介します。
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【人間の潜在力としてのサイキック・ヒーリング〜その進歩の歴史〜】(その1)

手かざし療法の歴史は、何千年も昔にさかのぼります。古代エジプトにおいて、それが治療目的でもちいられていたことを示す証拠は、紀元前1552年頃のエーベルス・パピルス(Ebera Papyrus)にすでにみとめられています。

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エーベルス・パピルスの癌治療に関する記述










キリストが誕生する4世紀も前のギリシャ人たちも、アスクレピオス神殿などにおいて、病人を治療するために手かざし療法をもちいていました。アリストファネスのいくつかの作品には、失明した男性の視力が手かざし療法によって回復したり、不妊の女性が子を授かったりするさまが詳しく描写されています。

聖書には、手かざし療法の医学的な応用や霊的な応用について、数多くの記述が見られます。キリストの奇跡的な癒しが手かざしによって行われたことは、よく知られているところです。キリストはこう言っています。「わたしが行っていることは、あなたがたにもできることです。あなたがたならもっと上手にできるだろう」。初期のキリスト教聖職者にとっては、手かざし療法は、説教や秘蹟と同じ仕事の一部だと考えられていました。初期の教会では、手かざしは、聖水や聖油といっしょに、秘蹟において使われていました。

それから何百年間かのあいだに、教会における癒しの職務は次第に衰退していき、ヨーロッパでは、癒しのわざはロイヤル・タッチとして行われるようになりました。ヨーロッパ諸国の王たちは、結核(瘰癧・るいれき)のような病気を手かざしによって癒したと伝えられています。この治療法は、イギリスでは、エドワード証聖王(Edward the Confessor 1004-1066)によってはじめられ、その後700年以上も続き、懐疑的な王ウィリアム4世(William Henry 1765-1837)の統治時代に廃止されました。

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エドワード証聖王(バイユーのタメストリー)








初期に行われたさまざまな癒しのわざの試みは、イエスやイギリス王、あるいは特定の治療家のもつパワーに対する、患者の信頼感や信仰心に基づくものだと考えられていました。また、現代になると、自然界の特殊な生命力や作用力によって治療が生じると考える医学者たちもあらわれました。

(続く)

ミラーニューロンについて

脳の研究に関して、現代は、胸がわくわくするような時代だ。20世紀後半以降、脳の中で起きていることが、脳波検査、脳磁場検査、経頭蓋磁気刺激法(TMS)といった電気生理学的手法や、陽電子放射断層撮影法(PET)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)といった画像研究手法などのおかげで、次第に解明されてきている。先日も、人が見た文字や図形を脳から読み取って画像化する技術の開発が報じられ、話題になった。脳の血流の変化を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し、コンピューターで分析して再現した「neuron」という文字や「+」「×」などの記号をご覧になった方も多いだろう。こうした手法を使って挙げた素晴らしい成果のうちでもひときわ目覚しいのが本書のテーマであるミラーニューロンの発見だ。

この発見の経緯がまた面白い。もともとミラーニューロンという発想はなかったのだから、研究者たちは最初からミラーニューロンを探していたわけではない。1990年代に、サルが特定の行為をしているときに活性化するニューロンを調べていたら、同じ行為を実験者がしているのをサルが目にしたときにもそのニューロンが活性化することが偶然わかった。このニューロンは、他者が行っている行為を、あたかも自分が行っているかのように、鏡さながら自分の脳に反映するので、「ミラーニューロン」と名づけられた。

先ほど、ミラーニューロンという発想はなかったと書いたが、実は、哲学者はミラーニューロンの働きに通じる心的現象を、とうの昔から考えてきた。物事を真に理解するには、自分の心でそれを経験しなければならないという見方は以前からあったし、ニーチェは、身体行為の模倣によって共感が生まれるという見解を、すでに1880年代に示している。また、舞台演出家のピーター・ブルックが指摘しているように、観客が演技者の行為と情動を自分の中で共有していることは、演劇界では長らく常識だった。

人は、他人の行動を目にしたときに、反応が脳内にとどまらず、図らずも同じような行動をとってしまう場合があることもよく知られている。本書の中でも、「跳躍の試合で選手が飛ぶと、観客の多くは足を動かすという話も聞いた」というダーウィンの1872年の言葉が紹介されているし、俗にあくびは伝染するとよく言うが、それもこの類かも知れない。ただ、以前は、そうした考えの真偽を確かめたり、反応の仕組みや原因を突き止めたりする実験的な手段がなかっただけだ。そこへ、冒頭で述べたように、技術の進歩のおかげで科学的な解明が進み、ミラーニューロンが発見され、鋭い洞察力を持った先日の説を裏づけることになったわけだ。

私たち人間は、日常生活の多くの部分をほとんど意識しないまま、何の支障もなくこなしている。しかし、それがいかに大変なことかは、例えば人間に似たロボットと作ろうとすればたちまち明らかになる。人間と同じような動きをさせるだけでも難しい。ロボットが空いての表情を読み取ったり、相手の感覚や気持ちを理解したりすることは、それを輪にかけて困難だ。そころが人間は、それを普段から何気なくやっている。このような驚くべき能力の鍵を握っているのが、ミラーニューロンだ。(ミラーニューロン/訳者あとがきp.216-217から引用)

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ミラーニューロン

右脳と左脳

心身のコミュニケーションの精神生物学

心身相関的な治癒と催眠における情報変換のプロセス

右脳と左脳〜論理的な心と類推的な心〜(2)

右脳の創造的な心身の治癒力を促進する研究に携わる、あらゆる学派の心理療法家たちは、
この説明に飛びつき、心のプロセスにともなう表情あるいは身体言語的な目に見える手がかりを発見しようとして、多くの論議を巻き起こした。H.ティートルボームとM・デイは、それぞれ思考や思索にともなう典型的な眼球の動きを発見した(Teitlebaum, 1954; Day, 1964)。P.ベイカンは、論理的な情報を変換する時と類推的な情報を変換する時とで、左脳と右脳の支配あるいは活動が切り替わることが、眼球が右または左に動く傾向のもとになっているのではないかと初めて論じた。

ベイカンは、この分野の多くの新しい研究を総括して、右脳は「未加工のイメージ」を形成するのに主要な役割を果たしていると結論した(Bakan, 1980)。この未加工のイメージの発生は、睡眠、夢見の状態、筋肉の弛緩、自由連想、精神錯乱、右脳と左脳の連絡を絶つある種の薬物の影響のもとで促される。しかし右脳と左脳の連絡が緊密な時は、右脳の未加工のイメージは左脳によって「料理」すなわち変換されるのである。ここから、体系的なイメージテストや空間的位置関係のテストでの能力の高い被験者は、眼球を右に動かす、すなわち左脳の関与が高まっているという一見矛盾するような発見がなされたのである。したがって、脳のどちらの半球が活発に活動しているかを知る手がかりとして眼球の動きを観察する際には、イメージがどの程度一次プロセス(未加工)で、あるいは二次プロセス(料理されている)で変換されているかを考慮に入れなければならない。

脳が未加工のイメージを変換することと処理されたイメージを変換することとの違いは、他のすべての感覚器官から得た情報にも典型的に見られる。例えば、音楽を習っていない、ただ音楽を楽しむだけの聴き手では右脳が活動しているのに対し、プロの音楽家の場合は、同じ音楽でも分析しながら聞くので、左脳が活動していることが明らかになっている(Mazziotta, Phelps, Carson & Kuhl, 1982)。右脳と左脳の情報変換の違い(Rossi, 1977)は、心身のコミュニケーションを促進するための多くの手段の基本原理となっているのである。(精神生物学p.45-46から引用)


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精神生物学(サイコバイオロジー)―心身のコミュニケーションと治癒の新理論
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右脳と左脳

心身のコミュニケーションの精神生物学

心身相関的な治癒と催眠における情報変換のプロセス


右脳と左脳〜論理的な心と類推的な心〜(1)

1950年代、60年代の脳の情報変換に関する一大発見は、R.メイヤーズとR.スペリーによって始まった(Meyers & Sperry, 1953)。彼らはネコの右脳と左脳をつなぐ神経接続(脳梁)を切断すると、右脳と左脳がある程度独立して機能するらしいことを発見したのである。この手術が精神活動を損なう恐れはなさそうだったので、スペリーらは慎重に選び出した被験者たちにこの手術を施した(Sperry, 1964)。この被験者たちは、重症の、制御不能の「グラン・マル」すなわちてんかんの大発作を起こす患者であった。てんかんの原因が一方の脳にあるなら、この手術によって少なくとももう一方の脳にてんかんが広がるのを防止できるだろうというのが彼らの理屈だった。手術の結果は、てんかんの軽減という意味では大成功だった。ところが心理学者たちがこの「脳を分割された」患者を注意深く調べたところ、右脳と左脳では情報の変換あるいは処理のされ方に本質的な違いがあることを示す、一連の興味深い事実と出会ったのである(Gazzaniga, 1967, 1985)。

心身のコミュニケーションと治癒の探究という本書の目的にとって何よりも特筆すべきことは、左脳は発話の言語的変換や分析的思考をとくに担当しているのに対し、右脳は、情動や想像、そしてとくに身体のイメージ化の特徴である全体的、類推的な情報交換で、より支配的な役割を果たしているということである(Achterberg, 1985)。ここから、右脳の情報交換モードは、大脳辺縁−視床下部系、およびプラシーボ反応や催眠療法における心身のコミュニケーションとより密接に関係しているという、重要な仮説が導かれる。

I.ウィクラマセケラはこれを次のように要約している:
プラシーボによく反応する患者では、催眠状態の患者と同様、脳の主言語半球(左脳)の特徴である、批判的、分析的な情報処理モードが抑制されている。プラシーボによく反応する人たちは、他の人々には脈絡もなく無意味に起きたと思われる出来事の間に、概念的その他の関連性を認めがちである。このような人々には、優位半球(左半球)の特徴である、疑いや不信といった情報モードから生じる情報信号の抑制が見られる。催眠状態の人々と同じく、プラシーボに反応しやすい人も、豊富に仕込んだ独自の主観的な考えで薬の効能を誇張しつくり上げ、実際に効果を高めてしまう。そのかわり、こういった人たちは、否定的な話を聞くと、薬の効力が低下したり、まったく効かなくなったりするかも知れない。一方、プラシーボに反応しない人たちを、A.シャピロは「柔軟性がなく、型にはまった考え方で、心理的影響を受けない人」と描写している(Shapiro, 1971, p.445)。これは、催眠誘導されにくに人たちの描写と驚くほど似ている。催眠誘導性すなわち暗示へのかかりやすさは、右利きの人ではおもに右脳(劣位半球)の機能であることが、次第に立証されてきた(Bakan, 1969; Graham & Pernicano, 1976; Gur & Gur, 1974; Lachman & Goode, 1976)。劣位半球の機能には、散漫で相関的、同時進行的な情報処理をともなう、全体的、想像的な精神活動が含まれている(Ornstein, 1973; Sperry, 1964)。無作為に発せられたデータ(ロールシャッハテストのインクのしみるような)に何らかの関係や「意味」を求める傾向は、劣位半球の特徴とされる創造的な精神活動の一面と見ることができよう。こう考えれば、プラシーボに反応しやすい人、催眠状態の人に共通する特徴を説明することができる。(精神生物学p.44-45から引用)

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