NLPモデリング・プロジェクトの研究結果として特定されるものは、通常、単一のパターンであるというよりは、パターンの集合体です。このパターンの集合体は「モデル」と呼ばれます。モデルは、「複製」や「理論」といった他の関連概念とは明確に異なったものです。

モデルは、単にモデルです。すなわちそれは、元になっている行動の一部分を描写し、複雑な一式のやり取りを単純な一式の構成要素として表現をし直すことです。このため、結果としての描写は、常に元になっている複雑な行動を単純に表出したものになります。この点が「複製」と「モデル」の違いです。

モデルは、元になっているパフォーマンスとそのパフォーマンスを描写しているとされる描写との間で同形の表現のし直しができるように表出を試みているものではありません。実のところ、パターン/モデルの価値は、該当の人に、自分自身が見せている複雑な行動の単純化された描写を提供することにあります。この単純化は、パターン/モデルが比較的効率的な形で学習でき、伝達できるという条件を満たすためには、不可欠となります。

単純化された表出と還元主義の違いについて注意しておきたいと思います。還元主義とは、研究対象のパターン化を、通常、基本的または初歩的なレベルの描写として、一定の一式の構成要素に還元することです。例えば、生物学的な現象を、純粋に、化学的または物理的用語に表現し直すことは還元主義の一例です。実のところ、これは、単純化された表出への表現のし直しのプロセスを経ない複製に過ぎません。

単純化された表出は、必ずしも、一定の一式の構成要素も、一定の用語も、意味するものはありません。それは、単に、NLPのコード化の段階で、モデラーが行うマッピング(表現のし直し)は、もし成功した場合、研究対象の個人またはグループの複雑なパフォーマンス(卓越性のパターン化の対象となるもの)を、そのモデリングが発生している状況下のモデリング対象の卓越した行動を再生するために学習者が学ぶ必要のない該当のパフォーマンスの局面を無視したモデルへマッピングすることである、ということを意味しています。これは、基本的には、パターン化の対象としての個人またはグループの偶発的な局面から不可欠な局面を選び出すことであり、明らかな意味で、単純化した表出です。

卓越性のモデリングから生まれるパターンまたはモデルの集合体は、複製だけではなく、理論とも著しい対照をなしています。例えば、理論は、内的な整合性、明示性、「洗練性」(最小限の描写のことです。「無用な複雑化を避け、最も簡潔な理論を採るべきだという原則」を意味する「オッカムのかみそり」を参照)、「現実」との適合性(時には「真実」と形容されているものです)、を含むいくつかの判定基準を条件としています。一方で、モデルは、簡単な創作物で、判定のための(少なくともこれまで容認されているかぎりで)唯一の基準は、

「このパターン/モデルは、うまく機能するか?」すなわち、
「これは学習可能で、学習したあと、学習者は、そのパターン/モデルが抽出されたモデリング対象と、結果と性質が類似した行動を発揮することができるか?」

だけです。

by John Grinder

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オッカムのかみそり(Occam's razor)
「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針。