意識内容のリフレーミング(content reframing)について学びたい方は、ぜひヴァージニア・サティア(Virginia Satir)を研究してください。彼女はその道の達人で、家族の中に新しい反応を定着させる手段の一つとして、これをよく用います。私が実際にみた一例を挙げましょう。(実は、その時あやうく吹き出して、セラピーをぶちこわすところでした。家族療法でそんなことになっては困りますから、私は咳き込むふりをしました。これはうまいごまかし方ですよ。笑い出しそうになったら、すぐ咳をすれば誰も気がつきません)。

ヴァージニア・サティア Virginia Satir
Virginia_Satir










ヴァージニアは、ある家族を治療中でした。父親は銀行家で、職業柄、堅苦しい人物でした。それも並たいていの堅物ではなかったようです。悪い人間ではなく、善意に満ちており、家族の面倒をよく見、自分でも気にしてセラピーを受けにくるくらいなのですが、基本的に気むずかし屋なのです。妻の方は、ヴァージニアの言葉によれば、典型的な「プラケーター」(placater)でした。ご存知でない方のために説明しますと、「プラケーター」というのは、何を言われても賛成したり謝ったりする人のことです。「いいお天気ですね!」と言うと「そうですね、すみません!」と答える、といった具合です。

面白いことには、娘は両親の性格を混ぜ合わせてもっていました。彼女は、悪いのは父親で、母親はすてきな人だと思っていて、いつも母親の味方をするのですが、自分では、父親とそっくりの振る舞いをする(actedです。

セッションで父親が繰り返し訴えたのは、母親が娘の育て方を誤ったので娘が頑固になった、ということでした。何度目かの訴えの途中で、ヴァージニアはそれをさえぎり、父親を見つめてこう聞きました。
「あなたは人生の成功者ですね?」。
「そうです」。
「あなたの財産は、誰かにもらったものですか。お父様が銀行をもっていて、 『お前のものだよ』と言われたのですか」。
「とんでもない。私は自力で出世したんです」。
「じゃあ、あなたには、粘り強さがありますね?」。
「ええ」。
「それが、あなたを今の地位につけ、銀行家として成功させた部分(partというわけですね。それから、時には他人の要求に対して、聞き入れたいとは思っても、後でよくない結果になるとわかっているから拒まざるをえないことがありますね?」。
「ええ、ありますよ」。
「それは、大事なところで、あなたを守ってくれる頑固な部分(partというわけですね」。
「まあそうです。野放しにするわけにはいきませんからな」。
「さて、振り返って、お嬢さんをよく見てください。そして、お嬢さんに、自分を頑固に主張することを教えたのはまさにあなた自身であり、頑固なこと、それは貴重な性質だということを認めてください。それは、どこにも売っていないあなたからの贈り物で、それによって生命を救われることだってあるかもしれません。お嬢さんがよくない下心のある男とデートしたとすれば、この性質がどんなに大切なものになることでしょう」。

皆さんはこの話を聞いていて、あるパターンに気がつかれたでしょうか。どんな経験もどんな行動も、ある状況、あるフレームの中では適切なものとなるのです

(星和書店「神経言語的プログラミング『リフレーミング』心理的枠組の変換をもたらすもの」p.4-6より)


リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの
リチャード バンドラー
ジョン・グリンダー
星和書店
1988-04-08



Reframing: Neuro-Linguistic Programming and the Transformation of Meaning
John Grinder
Richare Bandler
Real People Press
1981-06-01



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記事更新日:2020/07/29