meta-の語源

英語の meta-(メタ)という接頭辞は、ギリシャ語の meta という語に由来しています。このことばには、もともと〈・・・とともに(with)〉や〈・・・を越えて(across)〉、また〈・・・のうしろに(after)〉などの意味がありました。

 

meta-の意味とその関連語

Meta- は厳密にいうと単語ではなく、接頭辞(prefix)に分類されるものです。接頭辞とは、別の単語の “頭” に “接続” されることで、意味を追加するはたらきを担う要素です。

 

現代英語の meta- は、語源的意味から派生してさまざまな意味をもつようになっており、辞書によってはかなり細分化して意味を記述しているものもあります。ですが、ここでは〈越えて〉と〈うしろに〉という2つの語源的意味がもつイメージに基づき、2つの意味に単純化して紹介することとします。
 

1.場所や状態の〈変化〉をあらわす
 例)metamorphosis:(動物や昆虫の)変態=幼体から成体へと転換する過程のこと。
 例)metathesis:〔言語学用語〕音位転換=古英語の brid がのちに bird となった、などの言語現象のこと。
 例)metaphor: 隠喩、メタファー=表現のしかたを変化させること。
 例)metabolism: 代謝=体内にて食物などをエネルギーに変換すること。

【解説】これらはいずれも、語源的意味の〈越えて〉を継承していると考えられる用法です。例えば、動物や昆虫が遂げる「変態」とは、幼体という段階を〈越えて〉成体という段階に到達するプロセスである、と考えることができるでしょう。



2.〈より高次のもの〉や〈包括的な概念〉をあらわす
 例)metalanguage: メタ言語=言語や言語体系を説明するために用いられる言語や記号のこと。
 例)metagalaxy: メタ銀河=銀河系をふくむ全宇宙のこと。
 例)metatheory: メタ理論=理論に関する理論、理論を批評する理論のこと。
 例)metatheater: メタ演劇=演劇のなかで別の演劇が展開されるというような、演劇自体をテーマとすることで一つの世界を形成しているような種類の演劇のこと。
 例)metacognition: メタ認知=自分自身の心理過程を認識したり監視したりすること。
 例)metaverse: メタバース=現実世界を超えたインターネット上に存在する仮想空間のこと。

【解説】これらは、語源的意味の〈うしろに〉を継承していると考えられる用法です。ことばを補って言い換えると、〈一歩うしろに退いて〉というものになるでしょう。あるいは視点を変えて、〈俯瞰して〉というイメージをもとに考えることもできます。一歩うしろに下がることで、あるいは俯瞰して眺めることで、その対象から距離をとり、それを分析して説明したり(=メタ言語など)、批評したり(=メタ理論など)できるようになります。また、一歩うしろに退いて距離を取ったり、俯瞰して眺めることにより、対象の全体像を包括的に把握することができるようにもなります。このような連想から、〈包括的な〉の意味(=銀河系を含む全宇宙を表す概念としての「メタ銀河」など)が生じたと考えることができるでしょう。
 


ノート












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記事更新日:2024/01/18