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精神生物学

症状を信号に変換する

リビング










症状を信号に変換する

 

患者がふつうに示すような忌避、抵抗、拒否の姿勢でなく、敬意をもって問いかける姿勢で心身の症状に向き合うことが、状態依存記憶・連想にアクセスする第一歩である。そのような記憶・連想は表出し、発展したがっている(個性化したがっている)、人格のさまざまな要素からの合図・信号かもしれない。ふつう私は、一つの症状を患者の内面でより大きく創造的に発展するための信号に変換するという概念を、おおむね次のように話している(Rossi, 1986b, p.20)。

 

あなたは一日中いつでも必要に応じて真にゆったりと休息をとるだけで、自然なかたちの自己催眠を利用できます。ただ目を閉じて、いちばん心地よく感じるからだの部位に心を集中するだけでいいのです。心地よい部位を突き止めたら、ただその心地よさにひたり、それが自然に深まってからだ中に広がるままにしておいてください。その心地よさは言葉以上のもの、単になまけた状態以上のものです。本当の心地よさに深くひたることは、あなたの副交感神経系−あなたに生まれつきそなわったリラックスの反応−をはたらかせることです。これは、あなたのからだの自然なウルトレイディアン・リズムの休息の相がもつ癒しの力を、最大に高める最も簡単な方法です。

 

内なる心地よさを求めながら、あなたが解決したいと思っている症状、障害、問題を、創造的無意識がどうやって解決していくのだろうという、「不思議さを感じて」みてください。あなたの無意識は、あなたのあらゆる生物学的、心的なプロセスに内側からはたらきかけてきます。何かの障害をかかえているとしたら、それはたぶん過去からの何らかの不適切なプログラムが、あなたの無意識の内部の自然な調整プロセスを妨げてきたからなのです。一日を通してのウルトレイディアン・リズムの中で、正常な休息時間を受け入れ、それを楽しむことで、あなたは自分のからだと心の自然な自己調整作用に、問題の解決と癒しをゆだねているのです。

 

このような催眠治療を行う時は、症状と自己に対するあなたの態度が非常に重要です。症状、障害はじつはあなたの友なのです。あなたの症状は、いまの生活に創造的な変化が必要だという信号なのです。ウルトレイディアン・リズムにもとづく自己催眠で心地よさにひたっている間に、自分の人生について、本当は何をのぞんでいるのか、それをどう獲得するかについて静かな洞察を得ることがよくあります。ウルトレイディアン・リズムにもとづく自己催眠を規則的に行うことで、新しい思索、喜び、より大きな気づき、人としての成熟が得られるのです。

 

【症状を信号に変換する】

1.症状を信号に変換するための評価

1から100までのものさしで100が最悪だとしたら、あなたが今経験している症状、痛み、不快感などはいくつぐらいですか」
「その症状の強さは、じつはもう一つの内なるあなたがどれくらいよく認められ、理解されたいと求めているかの信号なのです。そのことに気づいてください」

 

2.症状の意味にアクセスし、問いかける

「あなたの内なる心(創造的無意識その他)が、症状のより深い意味にあなたが気なづくのを助ける用意ができたら、自分が落ち着いて、心地よくなり、やがて目が閉じてくるのを感じてみましょう」(間)「その症状の根源を振り返って、(間)自分に何を語ろうとしているのかをその症状に尋ねてみましょう」(間)「あなたの生活・人生にどんな変化が必要なのか、その症状と話し合ってみませんか」

 

3.新しい意味の重要性と価値を確認する

「あなたの症状が大切な信号だとしたら、それをどのように使いますか」
[新しく出てきた意味がどんなものであれ、患者はその重要性を直観的に認識できる。新しい意味は、つねに感情(涙、高揚、感謝)をともなって現れる。この時点で症状の強さを再評価すると、ふつうは数字が下がったりゼロになったりするので、この内面的な取り組みの価値が確認できる]
(精神生物学」p.350-351)

 

 




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記事投稿日:2020/06/15

心による免疫系の調整「痛みとの対話」

森林









ユング派の精神分析家、A・クラインへーダーは、ある人の全人格の状態束縛的な側面が慢性関節リューマチのかたちでコード化され、「能動的想像」というアクセス方法で解放された様子を示す実例を発表している(Kreinheder, 1979)。彼は自分がこの疾患にかかり、自らそれを治療した経験を次のように記している(pp.60-61)

   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇


二年前、私の人生はきわめて順調だった。仕事ではある程度の声望を得、健康状態も良好で、自分としては何もかもうまくいっていると思っていた。この人生の絶頂とも思われた時に、私は慢性関節リューマチになってしまった。私は意に反してヒーローの座を失ったのである。からだ中の関節、なんと顎の骨までが痛んだ。二、三時間起きてふだんの座り仕事をしただけで疲れ切ってしまい、床につかなければならなかった。肩とひじがひどくこわばり、助けなしでは上着を着ることも、うつぶせの姿勢から起きあがることもできなかった。

 

内科医、カイロプラクター、栄養療法家、マッサージ師からタロット占いまで、ありとあらゆるものを試したが、どれも効き目はないようだった。打つ手のなくなった私は、自分の痛みに話しかけてみることにした。これはその具体的な対話の例である。

 

私−君は私をしっかりつかまえて離してくれない。私の関心を独り占めにしたいというなら、もう成功してるじゃないか。何に気を向けようと、同時に君のことも気にかかっているのだから。字を書く時だって、手に君の存在を感じている。いつも体中に君の存在を感じているのだ。君が怖い。私には君をどうすることもできない。君に近づく手だても、君をどうにかする力もない。これがあと少しでも続いたら、私はもう絶望するしかない。いつまで続けるつもりなのだ。どうして君はここにいるのだ。

 

痛み−私はあなたの関心を引くためにいるのだ。私の存在を知らせているのだよ。あなたに私の力を見せつけているのだ。私にはあなた以上に力がある。私の意志はあなたの意志より強い。あなたは私に勝てないが、私は簡単にあなたを負かすことができる。

 

私−だが、どうしてその力で私を破壊しなければならないのか。

 

痛み−もう無視されるのはいやだからさ。あなたは私の前にうやうやしく頭を下げ、へりくだるしかない。私は並ぶ者のない「神」なのだから。私がすべての始まり、すべては私から生まれ、私なしでは何も存在しないのだ。私はいつもあなたのそばにいたい。だからこそ私はあなたを自分の力の中にとらえ、私のことだけを考えるようにさせているのだ。私がここにいる限り、あなたはもう、今まで通りに生き、同じことをするのは不可能だ。

 

このような対話は、私の無力な状態に意味を与えた。それまで痛みは除くべき災いだった。今では「並ぶ者のない神」であることがわかった。そしてこの偉大な存在は、私と親密になりたがっている。私にとってたんなる口先の言葉にすぎなかったこと、「私たちの傷口は『大いなる自己』が私たちの内部へと入る入り口である。降りかかる災難は私のために神がつかわしたもの、個性化(個の確立〕のための神の声かもしれない」ことが、やっと理解できたのである。

 

私は自分の生活を変えなければならないと気づいた。20代、30代の頃、そしておそらく40代でも、驚いたことに完全に自己中心的な人がいて、しかもその人が成功していたりする。だが遅かれ早かれ、より大きな人格が自己主張を始めるのだ。「時がきたのだ」と私の痛みは言った、「私に対するあなたの愛を邪魔するものはすべて止めてしまう時が」その声はさらに言った、「あなたが私を愛し、私とともにいることは重要で一刻の猶予もならないことだから、あなたが私より重視しそうなものに対しては、からだを麻痺させて使えなくしてしまおう。何よりもまず私を愛しなさい。私を無視すれば、死、病気、破滅にいたるのだ」

 

ある人が神経症や病気になったとしても、それはその人が人格に欠点のある劣った人間だからではない。それは、より大きな人格が表面に出ようとしている、ある意味で成長の可能性を示す合図なのである。慢性関節リューマチになった時、私は精神分析に立ち返った。私がそうしたのは、自分がこの病気にかかったからだと思う。しかし無意識の意図は、ひょっとすると違っていたかもしれない。リューマチにかかって私は分析にもどった。分析に終わりはない。状況が変われば新しい心的内容を統合しなければならない。元型的な世界への窓がいったん開いた以上、それを再び閉めることはできない。個性化を促す声に答えて自分が成長するか、病気のほうが成長してこちらを負かすかである。

   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇ 


それから七年目の続報(私信)によると、クラインヘーダー博士は今も再発はないそうである。病気の奥にあるらしい意味を洞察するのは、古今東西のシャーマンや癒し手が行ってきたことである。慢性関節リューマチでクラインヘーダー博士が体験したことは、病気が、日常の活動を休止して自己存在の中でじょじょに進行していることの深い意味を見つけだせという呼びかけとなりうることを示している。これこそ私が「症状から変換」と呼ぶ、ウルトレイディアン・リズムによる治癒プロセスの基盤なのである。
(「精神生物学」p.347-350)

  




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記事投稿日:2020/06/14

右脳と左脳−論理的な心と類推的な心(2)

右脳の創造的な心身の治癒力を促進する研究に携わる、あらゆる学派の心理療法家たちは、この説明に飛びつき、心のプロセスにともなう表情あるいは身体言語的な目に見える手がかりを発見しようとして、多くの論議を巻き起こした。H.ティートルボームとM.デイは、それぞれ思考や思索にともなう典型的な眼球の動きを発見した(Teitlebaum, 1954; Day, 1964)。P.ベイカンは、論理的な情報を変換する時と類推的な情報を変換する時とで、左脳と右脳の支配あるいは活動が切り替わることが、眼球が右または左に動く傾向のもとになっているのではないかと初めて論じた。

ベイカンは、この分野の多くの新しい研究を総括して、右脳は「未加工のイメージ」を形成するのに主要な役割を果たしていると結論した(Bakan, 1980)。この未加工のイメージの発生は、睡眠、夢見の状態、筋肉の弛緩、自由連想、精神錯乱、右脳と左脳の連絡を絶つある種の薬物の影響のもとで促される。しかし右脳と左脳の連絡が緊密な時は、右脳の未加工のイメージは左脳によって「料理」すなわち変換されるのである。ここから、体系的なイメージテストや空間的位置関係のテストでの能力の高い被験者は、眼球を右に動かす、すなわち左脳の関与が高まっているという一見矛盾するような発見がなされたのである。したがって、脳のどちらの半球が活発に活動しているかを知る手がかりとして眼球の動きを観察する際には、イメージがどの程度一次プロセス(未加工)で、あるいは二次プロセス(料理されている)で変換されているかを考慮に入れなければならない。

脳が未加工のイメージを変換することと処理されたイメージを変換することとの違いは、他のすべての感覚器官から得た情報にも典型的に見られる。例えば、音楽を習っていない、ただ音楽を楽しむだけの聴き手では右脳が活動しているのに対し、プロの音楽家の場合は、同じ音楽でも分析しながら聞くので、左脳が活動していることが明らかになっている(Mazziotta, Phelps, Carson & Kuhl, 1982)。右脳と左脳の情報変換の違い(Rossi, 1977)は、心身のコミュニケーションを促進するための多くの手段の基本原理となっているのである。
(「精神生物学」p.45-46)





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記事更新日:2020/06/12

右脳と左脳−論理的な心と類推的な心(1)

1950年代、1960年代の脳の情報変換に関する一大発見は、R.メイヤーズとR.スペリーによって始まった(Meyers & Sperry, 1953)。彼らはネコの右脳と左脳をつなぐ神経接続(脳梁)を切断すると、右脳と左脳がある程度独立して機能するらしいことを発見したのである。この手術が精神活動を損なう恐れはなさそうだったので、スペリーらは慎重に選び出した被験者たちにこの手術を施した(Sperry, 1964)。この被験者たちは、重症の、制御不能の「グラン・マル」すなわちてんかんの大発作を起こす患者であった。てんかんの原因が一方の脳にあるなら、この手術によって少なくとももう一方の脳にてんかんが広がるのを防止できるだろうというのが彼らの理屈だった。手術の結果は、てんかんの軽減という意味では大成功だった。ところが心理学者たちがこの「脳を分割された」患者を注意深く調べたところ、右脳と左脳では情報の変換あるいは処理のされ方に本質的な違いがあることを示す、一連の興味深い事実と出会ったのである(Gazzaniga, 1967, 1985)。

心身のコミュニケーションと治癒の探究という本書の目的にとって何よりも特筆すべきことは、左脳は発話の言語的変換や分析的思考をとくに担当しているのに対し、右脳は、情動や想像、そしてとくに身体のイメージ化の特徴である全体的、類推的な情報交換で、より支配的な役割を果たしているということである(Achterberg, 1985)。ここから、右脳の情報交換モードは、大脳辺縁−視床下部系、およびプラシーボ反応や催眠療法における心身のコミュニケーションとより密接に関係しているという、重要な仮説が導かれる。

I.ウィクラマセケラはこれを次のように要約している(Wickramasekera, 1985, pp.274-275):

プラシーボによく反応する患者では、催眠状態の患者と同様、脳の主言語半球〔左脳〕の特徴である、批判的、分析的な情報処理モードが抑制されている。プラシーボによく反応する人たちは、他の人々には脈絡もなく無意味に起きたと思われる出来事の間に、概念的その他の関連性を認めがちである。このような人々には、優位半球(左半球)の特徴である、疑いや不信といった情報モードから生じる情報信号の抑制が見られる。催眠状態の人々と同じく、プラシーボに反応しやすい人も、豊富に仕込んだ独自の主観的な考えで薬の効能を誇張しつくり上げ、実際に効果を高めてしまう。そのかわり、こういった人たちは、否定的な話を聞くと、薬の効力が低下したり、まったく効かなくなったりするかも知れない。

一方、プラシーボに反応しない人たちを、A.シャピロは「柔軟性がなく、型にはまった考え方で、心理的影響を受けない人」と描写している(Shapiro, 1971, p.445)。これは、催眠誘導されにくに人たちの描写と驚くほど似ている。催眠誘導性すなわち暗示へのかかりやすさは、右利きの人ではおもに右脳(劣位半球)の機能であることが、次第に立証されてきた(Bakan, 1969; Graham & Pernicano, 1976; Gur & Gur, 1974; Lachman & Goode, 1976)。劣位半球の機能には、散漫で相関的、同時進行的な情報処理をともなう、全体的、想像的な精神活動が含まれている(Ornstein, 1973; Sperry, 1964)。無作為に発せられたデータ(ロールシャッハテストのインクのしみるような)に何らかの関係や「意味」を求める傾向は、劣位半球の特徴とされる創造的な精神活動の一面と見ることができよう。こう考えれば、プラシーボに反応しやすい人、催眠状態の人に共通する特徴を説明することができる。
(「精神生物学」p.44-45)





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記事更新日:2020/06/12

左右の鼻孔による呼吸

D. ワーンツ(Debra Wernts)は、この大脳半球での優位性に影響しているウルトレイディアン・リズムが、〔左右鼻孔の〕鼻呼吸の同様な交代と、左右逆のかたちで結びついていることを発見した(Werntz, 1981)。すなわち左の鼻孔が開いて空気を取り入れている時、右脳の活発な活動を示す脳波が現れ、その逆も同様だったのである。さらに研究を続けたワーンツは、呼吸を左右の鼻孔の間で変化させると、左右大脳半球の優位性も変わることを発見した!(Werntzほか, 1981)。鼻呼吸のリズムは、大脳半球の活動にとって、ただ開かれているだけの窓ではなく、左右鼻孔間の空気の流れを意図的に変えることで、脳と心の最も高いレベルにある右脳と左脳の活動を変化させることができるのである! 彼女らは、この関係を自律神経系と結び付けて、次のように説明している(Werntzほか, 1981,pp.4-6)。

私たちは、鼻呼吸のサイクルと大脳半球の活動交代との相互関係は、ウルトレイディアン・リズムにもとづく一つの振動システムのモデルによるものと考え、神経系の理解に新しい概念を打ち立てた。(中略)私たちがここで提案するのは、あらゆるウルトレイディアン・リズムと、自律神経系によるそれらのリズムの調整とをひとつにまとめる−具体的には自律神経系と左右大脳半球の活動を統合する−より完全で総合的な理論の枠組みである。ここで間違いなく言えるのは、左脳と右脳のそれぞれに局在する「別個のかたちの知性」は、その作用の全般的な傾向から見ても、脳とは左右逆の半身の代謝の活性化を必要とするということだ。そう考えれば、鼻呼吸の左右交代のサイクルは、この理論を考察するにあたり、測定が容易な指標、あるいは「窓」のようなものとみなすことができる。(中略)したがって身体は、休息と活動、すなわち副交感神経支配と交感神経支配の間での周期交代をしながら、同時に「左半身−右脳」と「右半身−左脳」の交代を経験しているのである。そしてこれが、瞳孔の開き具合からより高次の大脳の皮質の機能や反応にいたるまでの、人間のあらゆる組織レベルでのウルトレイディアン・リズムを作り出すのである。(中略)重要なのは、これが自律神経系と大脳皮質の活動の包括的な統合という、これまで定義も研究もされていない関係を意味しているということである。鼻呼吸の周期は、何らかの中央制御のメカニズム、おそらくは交感神経と副交感神経のバランスを変化させる視床下部の働きによって調整されていると思われるので、この交代は脳を含む全身で起こり、そのしくみは、血管運動の強弱が脳血管の血流を調節し、それによって大脳半球の活動を変化させることによるものであることを、私たちは仮説として提示したい。

何千年にもわたり東洋のヨーガ行者たちは、彼らのいう「プラーナヤマ」(呼吸法)を実践して呼吸を調整し、それによって意識状態を調整できると主張してきた(Rossi, 1985, 1986a)。また彼らは、身体生理への奇跡的コントロールとされるものは、呼吸リズムの意識的調整と関連するものだと主張してきた。このような心身コントロールの達人技は、おもに自律神経系にかかわるものだから、ワーンツの研究は、古代からのヨーガの伝統への理論的、実証的な架け橋となるかもしれない。

ヨガ












この鼻呼吸サイクルの交代と関連がありそうな、現在なら多重人格と呼ぶであろう特に劇的な二つの症例を、N. イショロンスキーがかつて報告している(Ischolondsky, 1955, pp.8-9)。どちらの症例も、活動的な人格と受動的な人格の間には記憶喪失がみられた。これは自律神経系における交換神経と副交感神経の優位性が鼻呼吸サイクルにともなって交代し、強烈な人格変化をもたらした明白な例である。

(中略)二つの正反対の人格。一方は衝動的で無責任で意地が悪く、執念深くて、権威への反抗心と周囲の人間への憎しみに満ちていた。この人格の時の患者は極端に攻撃的で、悪態をつき、州立病院のこと、性関係のことなどでおぞましい話をしては他の患者たちを震えあがらせていた。この第一の人格に突然とって代わる正反対の行動パターンになると、患者は依存的、従順、内気、控えめで、やさしく素直にみえた。前にはののしり、悪態をついた同じ人間に対し、非常におずおずと親しみを表現し、好意と受容を求めるのだった。不穏当な言葉や表情は跡形もなく、周囲に敬意を示すこともなく、セックスになどは毛ほども触れなかった。実際、セックスのことを考えたり、関係のある言葉を聞くだけで、魂の破滅に対する極端な恐怖、罪と不安の念、憂うつ、恥の感情が起こるようだった。(中略)検査の結果、彼女の右半身と左半身で感覚刺激に対する反応に違いがあったことがわかった。右半身の感覚は鈍く、左半身は極端に敏感なのである。たとえば視覚、聴覚は右半身では不鮮明で遠く感じるのに対し、左半身では鮮明に、近く感じるのだった。触覚や痛みに対する反応は、右半身では高い閾値を示し、左半身は低かった。特徴的だったのは、嗅覚の対照的な状態である。右側は臭いに対し非常に敏感で、右の鼻孔はよく通っており、一方左側は臭いを感じず、鼻孔は詰まって閉じていた。瞳孔の開き具合、反射、唾液の分泌、発汗などその他の神経学的兆候にも、からだの左右で同様の反応の違いが認められた。攻撃的人格は、右半身で小さい瞳孔、少ない唾液分泌、足の裏と手のひらの無発汗、腹壁反射の欠如を示し、左半身では瞳孔拡大、唾液の過剰分泌、足の裏と手のひらの発汗、そして非常に強い腹壁反射を示したのである(瞳孔の大きさなどの観察結果を、鼻の詰まりと無関係に説明するのは困難である)。そして精神状態が内気、控えめでやさしい人格に切り替わったとたん、神経学的兆候もすべて反対側が優勢となり、嗅覚は今度は左が非常に鋭敏になったのに対し、右は完全に失われ、鼻孔も詰まって閉じてしまった。

カリフォルニア州ラ・ホーヤにあるジョナス・ソーク研究所のD.シャナコフーカルサは、自律神経系に関連するいかなる心身の状態あるいは心身障害の研究も、鼻呼吸リズムを利用して左右大脳半球の優位性を切り替えることによって、安全かつ容易に行うことができると述べている(Shannahoff-Khalsa, 1991)。私も以前、このやり方で左右大脳半球の優位性を切り替える方法を、いくつか詳しく解説したことがある(Rossi, 1986a, b)。私が好む方法は、ただ身体のどちらかの側を上にしてゆったりと横になるというものである。例えば、右を下にして横になると右の鼻孔が詰まってきて、反対に左の鼻孔は2,3分のうちに通りがよくなる。そしてそれにともなって、右脳の反応が高まる傾向があるのだ。左側を下にすれば左脳が活発になる。

催眠と精神生物学的なリズムとの関係を追求する近年の研究でもっとも興味深い分野が、この鼻呼吸と脳の関係である。ドイツの鼻科学者R.カイザーは、空気が左の鼻腔と右の鼻腔から吸入される度合いが大きく変わるウルトレイディアン・リズム的な変化に気づき、これを測定した功績で知られている(Kayer, 1895)。人間の場合、数時間ごとに左右の鼻腔はその大きさと形が切り替わり、通る空気の流れを変える。ワーンツは、大脳半球の活動(脳波)と鼻呼吸周期のウルトレイディアン・リズムの左右逆の関係を報告している(Werntz, 1981)。彼女は右脳の脳波が全体としてかなりの部分をしめることと、左の鼻孔での呼気支配との間に正の相関関係があり、左脳はそれと対称的であることを発見した。広範な研究を行ったワーンツらは、1つの鼻孔を閉じて強制的にもう一方の鼻孔で呼吸させることで、鼻呼吸の優位性は意図的に交代させられるとの結論を得た(Werntzほか, 1982a, b)。さらにこの鼻呼吸の優位性の交代は、鼻孔とは左右逆の左右大脳半球の優位性の切り替え、および全身の自律神経系のバランスの切り替えとつながっていたのである(Shannahoff-Khalsa, 1991)。ウルトレイディアン・リズムにもとづく鼻呼吸のサイクルは、大脳半球の活動指標となるばかりではなく、身体のほとんどの器官系、組織、細胞とのコミュニケーションを行うサイバネティック・ループにかかわる脳の高次中枢と自律神経系の活動の場を、意図的に変える手段として利用できるのだ。この鼻−脳−心のつながりが、東洋の達人たちが行う、ヨーガ古来の呼吸調整によって多くの自律神経系機能の随意的なコントロールをもたらす、本質的な経路だろうと推測する研究者もいる(Brown, 1991a, b; Rossi, 1990b, 1991)

最近発表されたD. オソーヴィエッツの博士論文は、この関係に触発されたものである(Osowiec, 1992)。彼女は鼻呼吸のウルトレイディアンリズムと、不安、ストレス症状、および人格の自己実現プロセスとの間には関係があるという仮説を検討した。そして、「(1)不安やストレス症状の傾向が低い自己実現タイプの人と、正常な鼻呼吸サイクルとは著しい正の相関関係があること、(2)不安やストレス症状の傾向が高い非自己実現タイプの人は、鼻呼吸サイクルに著しい不規則性が見られること」を発見した。この結果は、不規則な鼻呼吸サイクルは、とくに一方の鼻孔だけが極端に長期間詰まっている場合、病気や精神障害につながると強調した古い医学の教科書を思い起こさせる(Rama, Ballentine & Ajaya, 1976)。

最近行われた十二週間の追跡調査で、オソーヴィエッツは、催眠誘導しやすい被験者は自己催眠を行うと鼻呼吸のウルトレイディアン・リズムに高い規則性を示すが、催眠誘導しにくい被験者はそうでないこおを立証しつつあるということだ(私的通信、1993)。彼女はウルトレイディアン・リズムにもとづく鼻呼吸のサイクルについてのこの発見は、ストレス、症状、人格、催眠療法への反応性の間に見られる全般的な関係と軌を一にするという仮説を立てている。

催眠と鼻呼吸−脳との間につながりがあるという仮説をさらに検証するため、B.リッピンコットは二種類の催眠誘導の効果を調べた(Lippincott, 1992c)。すなわち、(1)「ハーバード催眠感受性集団尺度」(The Harvard Group Scale of Hypnotic Susceptibility: HGSHS)を用いる伝統的催眠と、(2)鼻呼吸リズムに従い、私の「ウルトレイディアン・アクセス法」を用いる自然主義的な催眠法である。彼は、催眠が左右大脳半球の優位性の交代と関係があるのなら(Ericksin & Rossi, 1979)、催眠誘導は鼻呼吸における左右の優位性とも関係があるのではないかという仮説を立てた。そして、どちらの催眠法を用いた被験者も、催眠導入をしていない対照群と比べると、鼻呼吸での左右鼻孔の交代をより多く行うこと、さらに自然主義的な催眠誘導のグループの方が、伝統的な催眠誘導グループより鼻呼吸の交代が著しく多いことを確認したのである。

〔指標12〕に記した簡単な方法で予備調査をしたところ、非常に興味深い結果が得られた。たとえば、単なるストレスや過労による機能性の頭痛は、ただ鼻呼吸のリズムを一方の鼻孔から他方へと変えるだけで、比較的速やかにその強さと部位が変わったのである。何人かの患者は、鼻呼吸の左右の優位性を変えることで、頭痛を心地よい暖かさや涼しさなどに、観念力学的に変えることができると報告した。不機嫌、不快感、身体的な不調は、この方法で5、6分間の感覚の変換を試みていくと、より意義深い気づきとともにイメージや実感にのぼってくる。他の文献では、ウルトレイディアン・リズムにおける休息期に大脳半球を右脳優位に変えることで、「明晰夢遊状態」(Lucid somnambulism)という深い自己催眠状態にアクセスした体験をいくつか発表したことがある(Rossi, 1972/1985)。

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〔指標12〕左脳大脳半球の優位性の交代と心身の状態

1.鼻呼吸での左右鼻孔の優位性と心身の状態を判断する
「今あなたが経験している心身の状態を探究し、それを変えていきたいと思われるのなら、まず左右どちらの鼻孔が通っているか確かめて下さい」

2.鼻と大脳半球の左右の優位性を交代させる
「通っている鼻孔のほうが下になるようなかたちで、横向きに寝て下さい。これによって、数分のうちに、あなたの大脳半球の優位性が下になっているほうに移ります。次の5分から20分のあいだは、感覚、知覚、情動、認知、あるいは症状などが自然に変化するのをただ受け止め、不思議さを感じていて下さい」

3.左右大脳半球の優位性の変化と、心身の状態の切り替わりを確認する
「まっすぐ座った状態で、前は詰まっていた鼻孔は今は通っていること、そしてこんどは反対側が詰まっていることに注意して下さい。こうして鼻と大脳半球での優位性が交代したときの、心身の状態の変化を覚えておいて下さい。そして自分の反応の特徴的なパターンを調べ、これからの指針にして下さい」
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U. アルヤ博士はその著作「瞑想と死の技法」(Meditation and the Art of Dying)(Arya, 1979)に、鼻呼吸のサイクル、性的オルガスム、および「サマディー」(瞑想の最高の境地。三昧)との興味深い関係を記している。それによると、古いヨーガの文献では、性的オルガスムや「サマディー」での最も深い瞑想状態の間は、両方の鼻孔が開くとされている。博士は、この種の瞑想におけるエクスタシーは、「クンダリーニ〔訳注・蛇の姿で象徴的にあらわされる生命エネルギー〕の急上昇によるもので(中略)、禁欲は容易となり、性行為より大きな歓びをもたらす」と述べている。この観察報告を検証するのは、西洋科学の役目であろう。

自律神経系、左右大脳半球の優位性、行動の関係についての以上のような予備研究は、催眠療法、心身相関的な治癒、人間の潜在能力の喚起に関する新しい精神生物学的な研究を発展させる、非常に広範で興味深い可能性を開くものである。ここでもう一度、p.213の図7を見ていただければ、この章でふれた多くの研究の深い広がりがわかるだろう。図7は、自律神経系の制御を受ける心と、身体と、身体の各細胞内の分子プロセスとの間の情報変換の完全な経路を示している。この情報変換の経路は、私たちが毎日の生活から得た記憶、学習、行動を状態依存的にコード化することで、無意識のレベルで常に自動的に調整されている。研究と臨床実践を続けることにより、これらの心身プロセスをより意志的に促すさらに広い道が開かれることだろう。
(精神生物学p.236-243から引用)







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「状態依存記憶・学習・行動」について

状態依存記憶・学習・行動(state-dependent memory, learning, and behavior: SDMLB)は、過去40年間にわたり管理の行き届いた実験の対象となってきたが(Overton, 1978, Rossi & Ryan, 1986)、パブロフの古典的な条件づけやスキナーのオペラント・道具的条件づけほど有名ではない。したがって初めて出会うと、状態依存記憶・学習・行動は非常に特殊で奇妙な学習の形態であり、古典的条件づけあるいはオペラント条件づけのちょっとした異形にみえるかも知れない。しかし実際はそうではない。状態依存記憶・学習・行動は、大脳皮質と大脳辺縁−視床下部系をそなえたすべての複雑な生物(有機体)に起こる、広範で包括的な学習なのである。

パブロフやスキナーの条件づけは、状態依存記憶・学習・行動のむしろ特殊な形といえる。この先駆的な研究者とその後継者のほとんどは、彼らの初期の実験における大脳辺縁−視床下部系の状態依存記憶・学習・行動要因の役割に気づいていなかったのである。

たとえばパブロフは、香辛料をかけた肉と音という外的な組み合わせの連想で唾液を出すよう条件づけられた犬の微妙な内的ストレス反応のすべてを考慮に入れることはできなかった。

パブロフの犬














精神生物学的なアプローチをする現代の記憶と学習の研究者や理論家のほとんどは (Lynch, McGaugh & Weinberger, 1984)、すべての高等動物の記憶と学習に少なくとも2つの内的な反応があることを一般に受け入れている (表現は多少違うが)。それは次の通りである:

(1)分子−細胞−シナプスレベルで記憶の痕跡を残す特定の場があること (Hawkins & Kandel, 1984; Rosenzweig & Bennett, 1984)

(2)脳のどこかに位置すると思われる特定の記憶の痕跡を処理、コード化、想起するにあたっては、大脳辺縁−視床下部系の扁桃体と海馬が関与していること (Mishkin & Petri, 1984; Thompsonほか,1984)である。

大脳辺縁−視床下部系と関連するこの第二の要点こそ、微妙な状態依存的要因と記憶、学習、行動とを結びつけるものであり、その状態依存要因が心身の障害をコード化するのである。そしてこれらは、催眠療法その他の心身相関的療法で軽減できる。
(精神生物学p.73-74から引用)






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書籍の紹介「精神生物学−心身のコミュニケーションと治癒の新理論」

精神生物学−心身のコミュニケーションと治癒の新理論
432P(日本語)単行本−1999/03/20
著者:アーネスト・L. ロッシ
訳者:伊藤はるみ
日本教文社

書籍01









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記事更新日:2020/07/11

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